進化続けるマエストロ チョン・ミョンフンとのアンビリーバブルで幸せな関係
いよいよ、シーズン最後の来日を控える名誉音楽監督チョン・ミョンフン。マエストロとの共演は、2017年7月、9月の定期演奏会でも多くのお客様に高くご評価いただきました。18年1月の定期は、「ジュピター」「幻想交響曲」の名曲プログラム。チェロ首席奏者として長年歩みをともにしてきた服部誠がマエストロ・チョンとの音楽づくりを語ります。
マエストロ・チョン・ミョンフンの音作り
マエストロ・チョンはみっちりリハーサルをするかたで、とくに『音』にこだわります。乱暴に演奏する事を非常に嫌い、『叩きつけて楽器を演奏するのではなく、お腹の底や楽器の根底から音を引き出すのだ』といつも言われます。豪快でスケールの大きい演奏をするマエストロですが、リハーサル時間のほとんどが静かで美しく、繊細な箇所に費やされますね。
ただ音が小さいだけではなく、よりふくよかに、より暖かく、より美しく演奏されるように。リハーサル中にマエストロが一番多く使う言葉は“more warm! more beautiful !”(より暖かく、より美しく!)かもしれません。
「極上のピノ・ノアールのような・・・」
マエストロの要求は非常に高いです。自分の力以上のことを求められるので、ある意味怖いですが、同時にとても楽しい。決してあきらめず要求し続けるマエストロとご一緒すると、いつのまにか自分も成長させられている気がします。僕たちも日々努力しているので、リハーサルの初日は成長した自分を聴いてもらおうと意気揚々なのですが、マエストロの進化が圧倒的すぎて、それについていけず、また落ち込む、この繰り返しです。
マエストロはパリ・オペラ座の監督を10年間務めていた方です。1月の「幻想交響曲」では極上のブルゴーニュのピノ・ノアールのワインのように官能的なまでに香り高いフレンチサウンドが、モーツァルトの「ジュピター」では高貴で明るく生き生きとしたサウンドが聴けることでしょう。
マエストロ・チョンとの幸せな信頼関係
東京フィルのメンバーは、皆、音楽的にも人間的にもマエストロを尊敬しています。マエストロとの共演中に死んでもいい! と思っているメンバーもたくさんいることでしょう(笑)。指揮者がフレンドリーになってカリスマ性が減少している今、このような指揮者とオーケストラの関係は非常に珍しいのではないでしょうか。
最近の『蝶々夫人』やマーラー「復活」のようなアンビリーバブルな名演も、このような関係があればこそ生まれたのかもしれません。今後もマエストロ・チョンと東京フィルの共演にご注目ください」。
===================
◎名誉音楽監督チョン・ミョンフン指揮 2018年1月定期/平日の午後のコンサート
◇聴き逃せない! チョン・ミョンフンの『ジュピター』『幻想』
1月24日[水]19:00開演(終演予定21:00)
東京オペラシティ コンサートホール
1月25日[木]19:00開演(終演予定21:00)
サントリーホール
1月28日[日]15:00開演(終演予定17:00)
Bunkamuraオーチャードホール
モーツァルト/交響曲第41番『ジュピター』
ベルリオーズ/幻想交響曲
※終演時刻は予定のため、変動することがございます。予めご了承ください。
◇マエストロ・チョン・ミョンフン初登場!
指揮者のお話と名曲でお届けする 「平日の午後のコンサート」
1月29日[月]14:00開演(開場13:15)
東京オペラシティ コンサートホール
指揮とお話:チョン・ミョンフン(東京フィル名誉音楽監督)
<マエストロが贈る珠玉のフレンチ>
ビゼー/歌劇『カルメン』より抜粋
ベルリオーズ/幻想交響曲