鈴木秀美がフレッシュな顔ぶれでヘンデルのオペラを

 5月19日(土)と20日(日)、二期会ニューウェーブ・オペラ劇場でヘンデルの《アルチーナ》が上演される。3年前に2公演とも完売だった《ジュリアス・シーザー》に続き、今回も期待したい。
 バロック・チェロの鈴木秀美は、指揮でも自身主宰するオーケストラ・リベラ・クラシカから主要オーケストラへと活躍の場を広げているが、このシリーズではフレッシュな若手の歌手陣に加え、古楽オーケストラにも新進の演奏家を多数起用してタクトを取る。今回も若いエネルギーの溢れる演奏となるだろう。

C)K.Muira

エヴァ・ブッフマン

 演出のエヴァ・ブッフマン女史は2001年、オペラ界に現われ、J.シュトラウス、モーツァルト、ストラヴィンスキーなどで人物の性格をきめ細かく描いて注目を集めてきた。出身地スイスでチェロを専攻した後、オランダで心理学や音楽療法を学び医療分野で働いた異色の経歴を持つ。こちらも新鮮な舞台が期待される。

 さてオペラだが、魔女アルチーナは魔法の島の来訪者に気に入った男がいると、魔法で自分に夢中にさせ、飽きると獣に変えてしまうという気ままな悪業を重ねている。今は騎士ルッジェーロが彼女の虜になっている。そこへ騎士の許嫁ブラダマンテが男装して島に現われ奪還劇を繰り広げる。魔法が解けて正気に返り、去っていく恋人を前にして本当の愛に目覚めたとき、彼女の霊力は失せ、ついには島全体もその姿が・・・。

 ヘンデルのオペラには神話や歴史を題材にしたものが多く、軽妙なものも少なくないが、《アルチーナ》は空想の奇譚をもとにした「魔法オペラ」で、シリアスな作りが特徴だ。魔法が解けるときの人物や情景の変化、そして悪者だったはずの魔女がか弱い女性へと変わっていく心の動きを、ヘンデルが音楽でどう描き、またエヴァが演出でどう表現するのか注目したい。
 公演約1ヶ月前の4月21日(土)にはワンコインのプレ・イベントが開催される。これはエヴァ本人からヘンデル・オペラの解説と演出コンセプトについて聞ける唯一のチャンスで、音楽を紹介するのは、起ち上げからプロダクションに関わり本番でも通奏低音を担当するチェンバロの上尾直毅とキャスト2人。こちらも濃い内容となりそうだ。
文:三ヶ尻 正


二期会ニューウェーブ・オペラ劇場
ヘンデル《アルチーナ》オペラ全3幕(日本語字幕付き・イタリア語上演)

2018.5/19(土)17:00 5/20(日)14:00
めぐろパーシモンホール


指揮:鈴木秀美
演出:フローリス・ビッサー → エヴァ・ブッフマン

※演出予定のフローリス・ビッサーは、健康上の理由により来日が不可能となりました。かわって エヴァ・ブッフマン (Eva Buchmann・写真左) が本公演の演出をつとめます。
【謹告】2018年5月公演G.F.ヘンデル『アルチーナ』~演出家の変更について

舞台美術:ディベケ・ヴァン・レイ
ドラマトゥルク:クラウス・ベルティッシュ

●キャスト
アルチーナ:梶田真未(5/19) 渡邊仁美(5/20)
ルッジェーロ:花房英里子(5/19) 杉山由紀(5/20)
ブラダマンテ:郷家暁子(5/19) 和田朝妃(5/20)
モルガーナ:宮地江奈(5/19) 今井実希(5/20)
オベルト:島内菜々子(5/19) 齋藤由香利(5/20)
オロンテ:市川浩平(5/19) 前川健生(5/20)
メリッソ:金子慧一(5/19) 的場正剛(5/20)

合唱:二期会合唱団
管弦楽:ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ(NBO)

 

●入場料金(税込)
一般:S席 ¥10,000 A席 ¥9,000 B席 ¥8,000 学生席 ¥2,000
愛好会会員:S席 ¥9,500 A席 ¥8,500 B席 ¥8,000 学生席 ¥2,000

※チケットお申込みと同時に愛好会へもご入会いただけます。
※チケット購入後のお取消、日程の変更はできません。
※二期会オペラ愛好会の特典は二期会チケットセンターでチケットをご購入された場合に限り適用されます。
※学生席のご予約は二期会チケットセンター電話のみのお取扱いです。
※未就学児の入場はお断りします。


●ご予約・お問合せ
チケットスペース:03-3234-9999
二期会チケットセンター:03-3796-1831
(平日10:00~18:00/土曜10:00~15:00/日・祝休業)
http://www.nikikai.net/ticket/

◆東京二期会の公演情報
http://www.nikikai.net/lineup/alcina2018/
◆プレ・イベントのブログ
http://www.nikikai21.net/blog/2018/04/03-2973.html