オペラ初出演!大和田伸也が会見〜東京二期会《後宮からの逃走》

 11月22日(木)に開幕する東京二期会オペラ劇場(NISSAY OPERA 2018 提携)、モーツァルト《後宮からの逃走》。公演を前に11月2日、駐日ベルギー大使館で演出のギー・ヨーステン(ベルギー国際オペラアカデミー支配人)、太守セリム役の大和田伸也、コンスタンツェ役の安田麻佑子、ブロンデ役の冨平安希子らが出席し、会見が行われた。
(2018.11/2 駐日ベルギー大使館 写真:寺司正彦)

左より:冨平安希子(ブロンデ役)、大和田伸也(太守セリム役)、安田麻佑子(コンスタンツェ役)

 冒頭、東京二期会常務理事の山口毅が挨拶、「日生劇場開場55周年記念 NISSAY OPERA モーツァルト・シリーズの掉尾を飾るワールドプレミエ。衣裳はスペイン、装置はイタリアと日本で制作し、オーケストラはモーツァルト演奏に定評ある東京交響楽団。海外との共同制作を通じて、初心者でも楽しめる公演を続けていきたい」との抱負を語った。

 10月から始まった立ち稽古について演出のギー・ヨーステンは「日本では夜でも『おはようございます!』で稽古が始まる。とてもフレッシュで、エネルギーを感じながら仕事ができています」と稽古の充実に自信をのぞかせる。
 本作については「モーツァルトの他のオペラと違って、ストーリーがシンプルで、最後はハッピーエンドに終わる。若い男女のカップルたちのラブストーリーです。カップルはお互いを探し合い、また自分探しもする。大人になっていく過程はミステリアスでもあり、荒々しさものぞかせるなど、モーツァルトのオペラのなかでも素晴らしい作品」と評し、演出コンセプトを次のように説明した。

左:山口 毅(東京二期会常務理事)、右:ギー・ヨーステン(演出)

「物語をどう舞台で表すのか、伝統的なのか、抽象的なのか、わかりやすさを求めるのか?どうやって愛を描くのか?など、考えました。後宮のなかに何があるのか?違う文化、見えるものと見えないものがある。
 昨年、京都に行った際、日本には三種の神器(宝物)という、天皇でさえも見たことがない箱があることを知りました。誰もがそれがあることを知っていて、中に何があるかも知っている。けれども、誰も見たことがない。これは“愛”にも言えることですね。実際に愛を見た人はいないし、ミステリアスなもの。これをわれわれは舞台に取り込みました」

 若手を育てる国際オペラアカデミーの支配人を務める立場からは若いアーティストのサポートの重要性も訴えた。
「歌手をどうサポートするのか、という問題は重要です。今回、若い歌手を起用させてもらました。若いカップルの物語ですが、そこに若い歌手の成長をも見ることができるのです」

 初心者向けのオペラとしてよく言われる《魔笛》よりは、こちらの方が初心者向きというヨーステン。「初めてオペラを観る人にとってもよい作品ですし、私のオペラを初めて観るという方にとってもいい作品だと思っています」と述べた。

大和田伸也

 今回がオペラ初出演となる大和田伸也は「この歳になってまさかオペラに出演できるとは夢にも思っていませんでした。オペラは手の届かない憧れの場所でしたので、とても嬉しい。劇団四季の本拠地だった日生劇場には45年ぶりの里帰りです。演出家からは“余裕のダンディズム”を学ばせてもらっています」と語り会場を沸かせながら、セリム役については次のように語った。
「演出家とも話をして、慈愛の心をもつ人間的な魅力をもった男が最後はベルモンテらを赦す、ということを念頭において演じようと思っています。
 セリムは絶対的な権力をもっていて自分がやりたいようにやれる状況でありながら、それでも手に入らないものがある。懐の広い余裕の男、セリムの魅力にコンスタンツェは、一度はふらっと惹かれたりするけれども、最後は恋人ベルモンテのところに戻る。それを赦す、男の大きさ。
 コンスタンツェの有名な10分にもおよぶ〈拷問のアリア〉の場面は、振り払ったり、攻めたりと、一番の見せ所。ドン・ファンのような男でなく、大きな男が、『まだまだ余裕がある、ゆっくり攻めればいいや』と、そういう余裕から生まれるダンディズムを演じるのがミソだし、面白く、そこが役者として自分が呼ばれた理由だと思っています」

 13年ほど前からフランスで活動し、今回が二期会デビューとなるコンスタンツェ役の安田麻佑子は「大和田さんは台詞の時はバリバリのバリトンヴォイスで語られ、台詞の無いときは、子犬のような優しい眼差しで演技をなさる。コンスタンツェは自分の恋人と太守セリムの間で心が揺れ動きます。どう演じていいかわからなかったのですが、それを見て、ああ、コンスタンツェはセリムのこういう人間的な魅力に惹かれたんだろうなと、ストンと腑に落ちました。演じる上でとても多くのヒントをいただいています」と大和田に対し絶大な信頼を寄せる。
 
 ブロンデ役の冨平安希子は、バイエルン国立歌劇場の研修生時代の経験が血肉となっていまに活きているとしながら「ドイツ語を母国語のように扱われるヨーステンさんによる、ドイツ語の細やかなニュアンスや演技の指導のおかげで、それぞれのキャラクターが浮かび上がってくる。とてもいい経験となり、楽しく稽古させていただいています」と語った。また大和田について「長年第一線で活躍され、威厳があって優しい俳優さんというイメージでしたので、セリム役に決まったとお聞きしたときに、ああピッタリの方だな、ステキなセリムになるだろうなと感激しました」と喜びを口にすると、大和田がはにかむシーンもあった。

左より:冨平安希子(ブロンデ役)、大和田伸也(太守セリム役)、安田麻佑子(コンスタンツェ役)

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
《後宮からの逃走》オペラ全3幕 《新制作》

2018.11/22(木)18:30
2018.11/23(金・祝)、11/24(土)、11/25(日)14:00
日生劇場

指揮:下野竜也
演出:ギー・ヨーステン
舞台美術:ラモン・イバルス
管弦楽:東京交響楽団


●キャスト

11月22日(木)/24日(土) 11月23日(金・祝)/25日(日)
太守セリム 大和田伸也 大和田伸也
コンスタンチェ 松永知史 安田麻佑子
ブロンデ 冨平亜希子 宮地江奈
ベルモンテ 金山京介 山本耕平
ペドリッロ 升島唯博 北嶋信也
オスミン 加藤宏隆 斉木健詞


●入場料金(税込)

S席 A席 B席 学生席
一般 ¥15,000 ¥13,500 ¥9,000 ¥2,000
愛好会会員 ¥14,000 ¥12,500

※チケットお申込みと同時に愛好会へもご入会いただけます。
※チケット購入後のお取消、日程の変更はできません。
※二期会オペラ愛好会の特典は二期会チケットセンターでチケットをご購入された場合に限り適用されます。
※学生席のご予約は二期会チケットセンター電話のみのお取扱いです。
※未就学児の入場はお断りします。

●ご予約・お問合せ
チケットスペース03-3234-9999
二期会チケットセンター03-3796-1831 (FAX 03-3796-4710)
受付時間:平日10:00〜18:00/土曜10:00〜15:00/日・祝休業