ベートーヴェンの生誕250年を祝して、東京・春・音楽祭においてもベートーヴェンの作品が数多く演奏されるが、なかでも注目は、クレメンス・ハーゲンと河村尚子による「ベートーヴェン チェロとピアノのための作品 全曲演奏会」。クレメンスは、ハーゲン・クァルテットのチェロ奏者として知られるが、ソリストとしても活躍し、アーノンクール指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、クレーメルとのブラームスの二重協奏曲の録音なども残している。一方、ドイツで育った河村は、今や、日本を代表するベートーヴェン弾きであり、今回のチェロ・ソナタでも、チェロよりもむしろピアノに耳を傾けたくなるだろう。クレメンスと河村はすでにデュオ活動を行い、2017年のデュオ・リサイタルではラフマニノフのチェロ・ソナタなどを共演している。今回のベートーヴェン全曲は二人にとっても絶好の機会となろう。
全曲演奏会の初日にあたる4月9日の演奏会では、チェロ・ソナタの第1番と第3番のほか、「《ユダス・マカベウス》より「見よ、勇者は帰る」の主題による12の変奏曲」、「《魔笛》より「恋人か女房か」の主題による12の変奏曲」もとりあげる。第3番は中期の傑作の一つ。ベートーヴェンのチェロ・ソナタのなかで最も人気の高い、堂々たる名曲である。
文:山田治生
*新型コロナウイルス感染症の拡大の影響に伴い、海外からの渡航制限拡大により、予定していた出演者の来日がかなわなくなったため、本公演は中止となりました。(3/24主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
https://www.tokyo-harusai.com/news_jp/20200318/
【公演情報】
クレメンス・ハーゲン(チェロ)&河村尚子(ピアノ)
ベートーヴェン チェロとピアノのための作品 全曲演奏会 Ⅰ
2020.4/9(木)19:00 東京文化会館 小ホール
●出演
チェロ:クレメンス・ハーゲン
ピアノ:河村尚子
●曲目
ベートーヴェン:
ヘンデル《ユダス・マカベウス》より「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲 ト長調 WoO.45
チェロ・ソナタ 第1番 ヘ長調 op.5-1
モーツァルトの歌劇《魔笛》より「恋人か女房か」の主題による12の変奏曲 へ長調 op.66
チェロ・ソナタ 第3番 イ長調 op.69