東京春祭恒例のワーグナー・シリーズの第11回は、満を持しての《トリスタンとイゾルデ》。指揮は、ポーランド出身ながら、今やドイツ音楽界の重鎮というべき、マレク・ヤノフスキ。彼は、東京春祭で2014年から17年まで「ニーベルングの指環」全曲を指揮し、16年と17年のバイロイト音楽祭でも同チクルスを担った。ベートーヴェン生誕250年にあたる今年は、バイロイト音楽祭で最終日の「第九」を指揮する予定。今回の《トリスタンとイゾルデ》でも、ヤノフスキはNHK交響楽団から引き締まった音を引き出し、辛口の演奏を聴かせてくれるだろう。
このワーグナー・シリーズの初回から演奏を務めるN響にも期待せずにはいられない。細部までおろそかにしないヤノフスキ指揮によって生み出されるN響の緻密なアンサンブルは、ワーグナーの管弦楽法の醍醐味を満喫させてくれるだろう。
文:山田治生
*新型コロナウイルス感染症の拡大の影響に伴い、海外からの渡航制限拡大により、予定していた多くの出演者の来日がかなわなくなったため、本公演は中止となりました。(3/18主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
https://www.tokyo-harusai.com/news_jp/20200318/
【公演情報】
●東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.11
《トリスタンとイゾルデ》(演奏会形式/字幕・映像付)
2020.4/2(木)、4/5(日)各日15:00 東京文化会館 大ホール
●出演
指揮:マレク・ヤノフスキ
トリスタン(テノール):アンドレアス・シャーガー
マルケ王(バス):アイン・アンガー
イゾルデ(ソプラノ):ペトラ・ラング
クルヴェナール(バリトン):マルクス・アイヒェ
メロート(バリトン):甲斐栄次郎
ブランゲーネ(メゾ・ソプラノ):エレーナ・ツィトコーワ
牧童、若い水夫の声(テノール):菅野 敦
舵取り(バリトン):髙田智士
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
●曲目
ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》(全3幕)
[上演時間:約5時間(休憩2回含む)]