長い歴史に支えられた揺るぎない誇りをまとい、豊穣な文化を育んできたウィーンの街で、19世紀末から20世紀初頭にかけて妖しい輝きを放ったグスタフ・クリムトの作品群。圧倒的存在感に満ちた作品が来訪している東京都美術館内の講堂において、「ウィーン、そしてクリムトの時代」を彩った音楽を味わいながら、しばしタイムトラベルを楽しむような感覚に陥ってはいかがだろうか。ドイツのマンハイムで学んだ2人のピアニストによるデュオ「ドゥオール」は、そのガイド役となるべく生命感にあふれた音楽を奏でてくれる。
まどろみと官能が押し寄せてくる「牧神の午後への前奏曲」、そして姉妹作品のような味わいを聴かせる「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」は、和声の革新者であるドビュッシーの自信作。ウィーン文化の発展を音楽で盛り上げてきたヨハン・シュトラウス2世による、ワルツの傑作「美しき青きドナウ」。ウィーンを拠点に後半生を過ごしながら音楽文化を支えたブラームスの「16のワルツ」(特に第15番は有名!)。そのブラームスの背中を追いながら、来たるべき20世紀の到来を前に書いたレーガーの「6つのワルツ」。新しいクリムト、新しいウィーンを知る約60分だ。
文:オヤマダアツシ
【公演情報】
ミュージアム・コンサート
「クリムト展」プレ・コンサート vol.2 ピアノデュオ ドゥオール
2019.4/12(金)14:00 東京都美術館 講堂
●出演
ピアノデュオ ドゥオール
藤井隆史、白水芳枝
●曲目
【世紀末のウィーンに流れた音楽】
ドビュッシー=ラヴェル:牧神の午後への前奏曲
J.シュトラウス2世:美しき青きドナウ
ブラームス:16のワルツ op.39
レーガー:6つのワルツ op.22
ドビュッシー(ベンフェルト編):神聖な舞曲と世俗的な舞曲
●チケット料金(税込)
全席自由¥2,100