シェーンベルク《グレの歌》

 「東京・春・音楽祭」15年目のフィナーレを飾るスペシャルな公演。シェーンベルクの記念碑的大作を生で体験できる。「グレの歌」は、デンマークの詩人ヤコブセンの同名詩に基づく哀しい愛の物語。1900〜11年の長期を費やして完成された。シェーンベルクといえば先鋭的なイメージが強いが、若き日に着想された本作は後期ロマン派に属する調性音楽。いわばワーグナーやマーラーの延長線上に生まれた傑作だ。

 特筆されるのが、10本のホルンをはじめ7~〜8管にも達する超大型オーケストラ、5人の独唱者と1人の語り手、3組の男声4部合唱と混声8部合唱を要する史上最大規模の編成。曲は、これを駆使した、2時間強におよぶ精妙かつ壮大な音楽である。従って生演奏は特別なイベント。ゆえにこのチャンスは逃せない。

 しかも今回は演奏陣が素晴らしい。複雑な近代作品を得意とする大野和士の指揮、マーラー等の大作に実績ある東京都交響楽団のコンビがまず強力。ソリストは、ワーグナー等で活躍するフォイクト、パンクラトヴァ、日本が世界に誇る藤村実穂子(有名な「山鳩の歌」は必聴!)と甲斐栄次郎が並び、ベテランの名歌手グルントヘーバーが語り手で加わる豪華版だ。そして合唱は東京春祭の核をなす東京オペラシンガーズ。ムーティの信頼も厚い彼らが、「合唱の芸術シリーズ vol.6」でもある本公演で存分に真価を発揮する。

 理想的な布陣による圧巻の音世界、壮麗な音絵巻を、全身で満喫したい。
文:柴田克彦


【公演情報】
東京春祭 合唱の芸術シリーズvol.6
シェーンベルク《グレの歌》〜後期ロマン派最後の傑作

2019.4/14(日)15:00 東京文化会館 大ホール

●出演
指揮:大野和士
ヴァルデマール王(テノール):クリスティアン・フォイクト
トーヴェ(ソプラノ):エレーナ・パンクラトヴァ
農夫(バリトン):甲斐栄次郎
山鳩(メゾ・ソプラノ):藤村実穂子
道化師クラウス(テノール):アレクサンドル・クラヴェッツ
語り手(バス・バリトン):フランツ・グルントヘーバー /他
管弦楽:東京都交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:マティアス・ブラウアー
合唱指揮:宮松重紀

●曲目
シェーンベルク:グレの歌

●チケット料金(税込)
S¥13,900 A¥10,800 B¥8,700 C¥6,700 D¥4,600 E¥3,600
U-25¥2,100
※U-25チケットは、2019年2月8日(金)12:00発売開始(公式サイトのみでの取扱い)