期待の若手チェリスト・伊東裕が東京春祭の人気企画「東博でバッハ」に初登場する。伊東は奈良県生駒市出身。日本音楽コンクールで第1位を獲得し、2016年に結成されたピアノ三重奏団・葵トリオのメンバーとして、18年のミュンヘン国際音楽コンクール(ARD国際音楽コンクール)のピアノ三重奏部門で第1位を獲得した。これは日本人の団体としては1970年の東京クヮルテット以来の快挙であった。東京藝術大学音楽学部を首席で卒業、修士課程を経て、現在はザルツブルク・モーツァルテウム大学にてエンリコ・ブロンツィに師事している。
その伊東が取り組むのは、バッハの無伴奏チェロ曲第1、2、6番に加え、ガスパール・カサドの無伴奏チェロ組曲だ。バッハの無伴奏チェロ組曲を20世紀に蘇らせた立役者であるカタロニア出身のパブロ・カザルス。そのカザルスの弟子が同じカタロニア出身のカサドであり、カサドは演奏だけでなく、チェロのための作品を数々残している。その中でも最も有名なのが無伴奏チェロ組曲であり、古典的な佇まいとカタロニア的な雰囲気を共に感じさせる作品となっている。バッハとカサドはとても興味深い組み合わせだ。
安定したテクニックに加え、室内楽の世界で鍛えた緻密な音楽性で、そのバッハとカサドに挑む伊東。その演奏に期待が高まる。こうやって音楽は過去から現在へと受け継がれて行くのだが、それをまざまざと感じるコンサートになるだろう。
文:片桐卓也
【公演情報】
ミュージアム・コンサート
東博でバッハ vol.44 伊東 裕(チェロ)
2019.3/26(火)19:00
東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール
●出演
チェロ:伊東 裕
●曲目
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007
カサド:無伴奏チェロ組曲
J.S.バッハ:
無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008
無伴奏チェロ組曲 第6番 ニ長調 BWV1012
●チケット料金(税込)
全席自由¥3,600
※一般発売:2019年1月27日(日)10:00〜