東京オペラシンガーズは、1992年に小澤征爾指揮と蜷川幸雄演出で大きな話題となったワーグナーの歌劇《さまよえるオランダ人》において、その圧倒的な成果を示し、高い評価を得たことで知られる。メンバーは東京を中心に活動している中堅・若手声楽家で、マエストロ・オザワの「世界水準のコーラスを」という強い要望により、組織された。
　その後、サイトウ・キネン・フェスティバル松本、ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン国立歌劇場の日本公演などに参加、再び高評価を得ている。

　93年から本格的な活動をスタートさせ、セイジ・オザワ・松本フェスティバル、東京・春・音楽祭をメインに、ワレリー・ゲルギエフ指揮キーロフ歌劇場管弦楽団、ユーリ・テミルカーノフ指揮サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団、イタリア国立放送交響楽団、さらに小澤征爾およびサイモン・ラトル指揮によるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などの来日公演に出演し、その実力のほどを遺憾なく発揮している。
　98年には長野冬季オリンピックの開会式でベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」の合唱を担当し、99年にはエディンバラ音楽祭に出演したりと活動の幅を広げている。

　東京オペラシンガーズは各人がソリストとしても活動し、ひとりひとりが豊かな声量を誇り、クオリティの高さと深い表現力を目指し、さまざまな作品で底力を示している。
　この東京・春・音楽祭の「にほんのうた」シリーズでは、これまで「外国からやってきた歌」「讃美歌」「ある作曲家の作品」など多種多様なプログラムを披露してきたが、今回は美しく叙情的な旋律に彩られた日本の歌が組まれている。なつかしい想いに駆られたり、その曲にまつわる思い出が蘇ったり、ともに口ずさんだり、一期一会の曲との出合いが堪能できるひとときになるに違いない。
文：伊熊よし子

【公演情報】
にほんのうたⅨ〜東京オペラシンガーズ
〜合唱で聴く美しい日本の歌

2019.3/16（土）14:00　東京文化会館 小ホール

●出演
合唱：東京オペラシンガーズ
ソプラノ：黒田なるみ、駒井ゆり子、松田万美江、馬原裕子
アルト：相田麻純、菅原章代、橋本恵子
テノール：土崎 譲、渡邉公威、渡辺 大
バス：寺本知生、成田 眞、藪内俊弥
指揮：宮松重紀
ピアノ：寺嶋陸也

●曲目
【民謡】
中国地方の子守唄：日本民謡　山田耕筰・作曲（林光・編曲）
竹田の子守歌：京都地方民謡（寺嶋陸也・編曲）
こきりこ：富山県民謡　小林秀雄・作編曲
そうらん節：北海道民謡　清水脩・作曲（福永陽一郎・編曲）
五木の子守歌：熊本県民謡（寺嶋陸也・編曲）
【日本の四季】
《春》
みかんの花咲く丘：加藤省吾・作詞/海沼 實・作曲(寺嶋陸也・編曲)
山小舎の灯：米山正夫・作詞作曲(寺嶋陸也・編曲)
茶摘み：作詞不詳/作曲不詳(源田俊一郎・編曲)
《夏》
知床旅情：森繁久彌・作詞作曲(寺嶋陸也・編曲)
琵琶湖周航の歌：小口太郎・作詞/吉田千秋・作曲(若林千春・編曲)
《秋》
まっかな秋：薩摩 忠・作詞/小林秀雄・作曲
村祭：作詞不詳/南 能衛・作曲(B.チルコット・編曲)
秋に さよならする日：サトウ ハチロー・作詞/中田喜直・作曲
《冬》
こもりうた：野上 彰・作詞/團 伊玖磨・作曲(寺嶋陸也・編曲)
虹と雪のバラード：河邨文一郎・作詞/村井邦彦・作曲(寺嶋陸也・編曲)

●チケット料金（税込）
全席指定¥3,600