作曲家のメモリアルイヤーには、ふだんあまり聴くことのできない作品や珍しい編成の作品などを聴くことができ、その作曲家の隠れた魅力なども発見することができる。
2019年はロベルト・シューマンの妻でピアニストとして活躍し、また作曲家でもあったクララ・シューマンの生誕200年にあたる記念の年である。クララの作品は現在あまり演奏される機会には恵まれず、今年こそその魅力に触れることができると思っていたところ、シューマンをライフワークとしている伊藤恵が、息の合った音楽仲間とともに150年前に50代だったクララが行った最後のコンサートを再現するという画期的なプログラムを実践することになった。
メンバーは伊藤恵(ピアノ)、開原由紀乃(ピアノ)、加藤知子(ヴァイオリン)、菅英三子(ソプラノ)、日高剛(ホルン)という日本を代表する精鋭が勢ぞろい。プログラムはブラームス、シューベルト、メンデルスゾーン、ルドルフ、ショパン、シューマンという構成で、クララ・シューマンが生きた時代をリアルに映し出す作品がずらりと並び、当時の雰囲気を再現する。まさにメモリアルイヤーならではの企画で、ピアニストとして活躍したクララの真骨頂が堪能できそう。
伊藤恵はピアノ・ソロ、各アンサンブル、声楽家とのデュオを披露し、クララの思いに寄り添う。こうしたこだわりのプログラムを聴くことができるのが東京・春・音楽祭の醍醐味で、ふだんなかなか味わえない旧東京音楽学校奏楽堂の特別な響きも楽しめる。
文:伊熊よし子
【公演詳細】
クララ・シューマンーー生誕200年に寄せて
〜伊藤 恵(ピアノ)と仲間たち
2019.4/5(金)18:30 旧東京音楽学校奏楽堂
●出演
ピアノ:伊藤 恵
ヴァイオリン:加藤知子
ソプラノ:菅 英三子
ホルン:日髙 剛
ピアノ:開原由紀乃
●曲目
ブラームス:ホルン三重奏曲 変ホ長調 op.40
シューベルト:若い尼 D828
メンデルスゾーン:厳格な変奏曲 ニ短調 op.54
ブラームス:愛のまこと op.3-1、あこがれop.49-3
(エルンスト・フリードリヒ・カール・)ルドルフ:幻想小曲集 op.10
ショパン:夜想曲 第13番 ハ短調 op.48-1
ショパン:即興曲 第1番 変イ長調 op.29
シューマン:きみの顔 op.127-2
シューマン:《女の愛と生涯》 op.42 より 第2曲 「彼は誰よりも素晴らしい人」
シューマン:幻想小曲集 op.12 より
第1曲「夕べに」、第5曲「夜」、第4曲「気まぐれ」、第3曲「なぜに」、第2曲「飛翔」
●チケット料金(税込)
全席指定¥5,700
U-25¥1,500
※ U-25チケットは、2019年2月8日(金)12:00発売開始(公式サイトのみでの取扱い)