郷古 廉(ヴァイオリン)& 加藤洋之(ピアノ)

 郷古廉(ヴァイオリン)&加藤洋之(ピアノ)の実力派コンビが、2017年から行ってきた「ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」の完結編。

 声高に叫ばずして強靭かつ深い音楽を奏でる郷古は、人材豊富な新世代ヴァイオリニストの中でも傑出した存在。13年ティボール・ヴァルガ シオン国際ヴァイオリン・コンクール優勝後、ウィーンで研鑽を積み、国内外でリサイタルや協奏曲の演奏を行っている。加藤は、1990年ジュネーヴ国際音楽コンクール第3位受賞後、ソロやウィーン・フィルのメンバーとの室内楽等で活躍している名手。郷古とも10年に亘って共演を続けている。

 郷古はこの2年、楽曲を正面から見据えた剛毅で表情豊かなベートーヴェン演奏を展開し、強い感銘を与えてきた。またウィーン・フィル在籍時のライナー・キュッヒルと当ソナタ全曲演奏会をウィーン楽友協会で行った加藤が、これらの楽曲におけるピアノの意味を再認識させてくれるのも得難いポイント。年に1回、番号順の演奏を基本とすることで、作曲技法の進化と奏者二人の進化が同時に示される点が魅力でもあり、2回の経験を経て最後の2曲に挑む今回は、集大成的な成果が期待される。

 演目は、華麗で迫力に充ちた究極の傑作=第9番「クロイツェル」と、優美な叙情性を湛えた円熟の名作=第10番。この2曲ならば単独の公演としても妙味十分だし、演奏者の音楽性も明確に伝わるので、前2回を聴き逃した方もぜひ注目されたい。
文:柴田克彦


【公演情報】
郷古 廉(ヴァイオリン)& 加藤洋之(ピアノ)
〜ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会 III

2019.4/10(水)19:00 東京文化会館 小ホール

●出演
ヴァイオリン:郷古 廉
ピアノ:加藤洋之

●曲目
ベートーヴェン:
 ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 op.47 《クロイツェル》
 ヴァイオリン・ソナタ 第10番 ト長調 op.96

●チケット料金(税込)
S ¥4,100 A ¥3,100
U-25 ¥1,500 ※ U-25チケットは、2019年2月8日(金)12:00発売開始(公式サイトのみでの取扱い)