東博でバッハ vol.46 上野通明(チェロ)

 「東京・春・音楽祭」で、最もこのフェスティバルらしい企画といえば、上野公園の博物館や美術館での「ミュージアム・コンサート」ではないだろうか。なかでも「東博でバッハ」は、40回以上続く、人気の演奏会。東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホールという特別な空間で聴く、親密なバッハは、ここでしか体験できないものといえよう。

 vol.46に登場するのは、次代を担う若手チェリスト、上野通明である。上野は、南米パラグアイで生まれ、スペインのバルセロナで育った。その後、桐朋学園で毛利伯郎に師事。ブラームス国際コンクールで第1位、ルトスワフスキ国際コンクールで第2位に入賞するなど、国際的に活躍。鬼才ピーター・ウィスペルウェイに才能を認められ、ドイツにおいて彼のもとで研鑽を積んでいる。

 今回は、バッハの無伴奏チェロ組曲第3、5、6番とブリテンの無伴奏チェロ組曲第1番が演奏される。師ウィスペルウェイは、ピリオド楽器もモダン楽器も弾きこなし、これまでにバッハの無伴奏組曲を3度録音しているバッハの解釈家。上野がどんなバッハ演奏を聴かせてくれるのか興味津々である。また、ロストロポーヴィチに触発されて書かれたブリテン作品も注目される。時代を超えたチェロの響きこそ、ミュージアムの空間にふさわしい。
文:山田治生



【公演情報】
ミュージアム・コンサート
東博でバッハ vol.46 上野通明(チェロ)

2019.4/11(木)19:00 東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール

●出演
チェロ:上野通明

●曲目
J.S.バッハ:
 無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV1009
 無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV1011
ブリテン:無伴奏チェロ組曲 第1番 op.72
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第6番 ニ長調 BWV1012

●チケット料金(税込)
全席自由 ¥3,600
※一般発売:2019年1月27日(日)10:00〜