東博でバッハ vol.43 小林美恵(ヴァイオリン)

C)武藤 章

 東京春祭にたびたび出演しているヴァイオリン奏者・小林美恵が、「東博でバッハ」に初めて登場し、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」全曲という核心中の核心に迫る注目の公演。
 小林は、1990年のロン=ティボー国際コンクール・ヴァイオリン部門で日本人初優勝を果たした後、国内外で活躍を続け、デビュー25周年を迎えた2015年から17年には6回の記念リサイタルシリーズを好演、2018年2月からは、Hakuju Hallにてリサイタル新シリーズ「小林美恵 華麗なるヴァイオリンの伝説」(全6回)を開始するなど、近年も充実した活動を行っている。
 真摯な本格派たる彼女にとって、バッハの無伴奏曲は当然最重要レパートリー。01年に3曲を録音してのびやかな表現を聴かせたのをはじめ、以前から実績を積んでいるが、デビュー25周年を機に改めて向き合い、16年2月には全曲の演奏会、17〜18年には全曲の録音を行った。そこで彼女は、ピリオド奏法も反映しながらモダン楽器の響きの良さを生かした、ごく自然かつこまやかな演奏を展開し、円熟味を増した姿をみせている。
 今回はまず、その成果を踏まえた上でのアプローチが興味津々。そして、さらなる進化を期待しつつ、誠意をもって音楽に取り組んできた実力者が全身全霊を傾けて奏する、濃密にして味わい深いバッハの聖典に、じっくりと耳を傾けたい。
文:柴田克彦


【公演情報】
ミュージアム・コンサート
東博でバッハ vol.43 小林美恵(ヴァイオリン)
〜無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ 全曲演奏会

2019.3/23(土)14:00 東京国立博物館 平成館ラウンジ

●出演
ヴァイオリン:小林美恵

●曲目
J.S.バッハ:
 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト短調 BWV1001
 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002
 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第2番 イ短調 BWV1003
 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004
 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005
 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006

●チケット料金(税込)
全席自由:¥5,200