街歩き2016●コース2 御徒町〜上野(昼編)

JR御徒町駅から上野の演奏会場へ向かう道筋には、様々なグルメや観光スポットが点在している。そのモデルのひとつとしてお薦めなのが、以下のコースだ。


①銭湯 燕湯

春が到来し、気候も穏やかになるこの季節。公演の前に一風呂浴びて、身も心も爽やかな気分で演奏会場に向かってはいかがだろう。JR御徒町駅の南口から徒歩約4分の距離にある「銭湯・燕湯」は、建物が銭湯では唯一、国で登録有形文化財に指定されている名所でもある。下足場を上がると昔ながらの番台があって、脱衣場は2階まで吹き抜け。さらに浴室は3階まで吹き抜けになっており、常に45度以上にキープされている“熱い”湯船にゆったりと浸かれるのが嬉しい。また、浴場には公明な銭湯絵師の中嶋盛夫が手がけた美しいペンキ絵と、富士山の溶岩から作られた重厚な岩山があり、こちらも有形文化財として登録されている。営業時間は朝の6時から夜の8時までで月曜定休。


■銭湯・燕湯(せんとう つばめゆ)
台東区上野3-14-5
TEL 03-3831-7305
営業時間:6:00~20:00
定休日:月
HP http://www.tsubameyu.com/

 

②自家焙煎珈琲屋ラ・パン

入浴の後は喫茶店で休憩タイム。燕湯から目と鼻の先にある老舗珈琲店が、「自家焙煎珈琲屋ラ・パン」だ。オーナーの高野勝茂さんは、神田の喫茶店勤務を経て、1991年にこの店をオープン。以来、四半世紀近くにわたり、「うちにしかないもの提供する」こだわりを貫いてきた。様々なストレートやブレンドを取り揃えた珈琲は、すべて入口横の焙煎機で焼いた自家製で、毎日挽きたての新鮮な豆を使用。それを1杯ずつネルドリップで淹れる丁寧な作りなので、豆本来の個性や旨味を自然な形で味わえる。ストレートは毎月「今月の豆」を設定。取材に伺った2月はアフリカ特有の風味が特徴的な「ルワンダ」で、甘味と深みのバランスが絶妙な1杯だった。また、この店は珈琲以外のメニューが充実しているのも大きな魅力。紅茶、季節のフルーツを使った生ジュース、ケーキ、サンドウィッチなどなど。「東京・春・音楽祭」の開催期間中は、苺が旬なので、ジュースやケーキに多用する予定だという。昨年からは店内を前面禁煙にして、フードには自家製のクロワッサンを使ったサンドウィッチを新メニューに加えるなど、現在もメニューやサービスの向上に余念がない高野さん。その美味しさと一途な職人気質を求めて、今日も多くの人々がこの店に集う。

■自家焙煎珈琲屋 ラ・パン(じかばいせんこーひーや ら ぱん)
台東区上野3-15-7
TEL 03-3832-7065
営業時間
月~土:7:00~18:00
日・祝日:12:00~17:00
定休日:不定休(お盆、お正月に各1週間ほど)
HP http://cafe-lapin.net

 

③黒船亭

カフェを出て、アメ横や中央通りを散策しながら上野へ向かう中、公演の前にそろそろ腹ごしらえ。ここは演奏会場にも近い老舗の洋食「黒船亭」で決まりだろう。「ビルの4階から街の景色を臨みながら、ゆったりとお食事をしていただく。“型にはまらない洋食”をご提供しています」とは、4代目の須賀利光さんの弁。創業は1902年に遡り、元々は料亭「鳥鍋」からスタート。その後、時代の流れと共にカフェや中華料理店などに経営形態を変えながら、69年に前身となる「レストランキクヤ」をオープン。現在の屋号になったのは86年のことだった。一番のお薦めは、1週間以上かけてじっくり煮込んだデミグラスソースをベースに使った「ハヤシライス」。また、「ビーフシチュー」や「オムライス」も多くのファンに長年愛されている人気メニューだ。「洋食は日本人がアレンジした和洋折衷料理なので、白いご飯によく合うんです」という言葉通り、南魚沼産にこだわった贅沢なコシヒカリと、甘く濃厚なハヤシソースのマリアージュは、口福なことこの上ない。

黒船亭(くろふねてい)
台東区上野2-13-13キクヤビル4F
TEL 03-3837-1617
営業時間:11:30~22:45
定休日:無休
HP http://www.kurofunetei.co.jp/

 

④あんみつ みはし

お腹も一杯になったし、いよいよ演奏会場へ…の前にもう1軒、デザートもお忘れなく。中央通りの商店街の中でひときわ温かさと懐かしさに溢れた甘味喫茶「あんみつ・みはし」だ。今年で創業67年目。社長の佐藤一也さんによると、甘味に飢えていた戦後に祖母と父が見よう見まねであんみつを作ったのが始まりだったという。昔ながらの甘味処だけあり、定番のあんみつの他、クリームあんみつ、抹茶あんみつ、豆かん、ところてんなど、メニューが実に豊富なこのお店。さらに赤飯や雑煮といった軽食まで取り揃え、あらゆる客のニーズに応える懐の深さが流石だ。「あんみつはB級グルメ」と謙虚に語る一方、「あんこ(北海道・十勝産)、みつ(沖縄産・黒砂糖)、赤えんどう豆、ぎゅうひ、みかんの素材とバランスにこだわったうちのあんみつは、“味のシンフォニー”」と自信を覗かせる佐藤さん。なるほど一口で思わず笑みがこぼれる美味しさだ。あんみつは店内で食べられる他、持ち帰りも可能なので、上野土産にもぜひ。

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あんみつ みはし
台東区上野4-9-7
TEL 03-3381-0384
営業時間:10:30~21:30
休日:元日
HP http://www.mihashi.co.jp