夢幻能《月に憑かれたピエロ》

 近年、西洋のクラシック音楽と日本の伝統芸能のコラボレーションなど、新しい試みが増えている。今年の『東京・春・音楽祭』でもシェーンベルクの室内楽伴奏による連作歌曲『月に憑かれたピエロ』と「能」を融合した夢幻能が上演される。
 『月に憑かれたピエロ』初演から100年たった2012年に、ウィーンで活躍するソプラノの中嶋彰子が構成・演出を手掛け、すみだトリフォニーホールほかで上演された公演の待望の再演だ。
 もともと『月に憑かれたピエロ』はシュプレッヒゲザング様式(ドイツ語で「話す歌」の意味)で歌われ、語りや、場面によっては叫び声のようなソプラノの歌い方が最大の特徴で、シェーンベルクの無調音楽が合わさることによって独特の世界観が生まれている。
 能の謡(うたい)にはそれと共通する部分があり、また和笛とフルートの対話など、想像を超えた新しい音楽に出会える一夜。

夢幻能《月に憑かれたピエロ》
〜〈能〉と〈シェーンベルク〉月夜の出会い
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_3022.html
2016.3.24 [木] 19:00 東京文化会館(小)

■出演
ピエロ:中嶋彰子
シテ:渡邊荀之助
指揮:ニルス・ムース
ヴァイオリン、ヴィオラ:水谷 晃
チェロ:上野通明
フルート:斎藤和志
クラリネット:コハーン・イシュトヴァーン
ピアノ:斉藤雅昭
笛:松田弘之
大鼓:望月太喜之丞
地謡:佐野 登、藤井雅之、髙橋憲正
舞台監督:中村 豊
テクニカル・クルー:松本 徹、野島幸三郎
衣装:黒川敬子、戸川和枝
初演映像:高岡真也

■曲目
シェーンベルク:《月に憑かれたピエロ》 op.21