東京都美術館で開催中の『奇想の系譜』展に連動したコンサートである。若冲、白隠らが活躍した江戸中期はヨーロッパではバロック音楽の時代にあたる。そのバロック時代に楽器として活躍していたのはリコーダーだった。リコーダーの響きと、江戸の奇想の画家たちの面影が重なり合う瞬間が訪れる。
演奏されるのはヴィヴァルディの協奏曲「ごしきひわ」「夜」「海の嵐」、エイクの「笛の楽園」、ラモーの「優雅なインドの国々」など。イタリア、フランス、イギリス、フランドルなどの国々の作曲家による、まさに奇想の音楽が集められた。それをリコーダーの江崎浩司率いるバロック楽器のアンサンブルが演奏する。リコーダーの江崎はブルージュ国際コンクール・アンサンブル部門第2位及び聴衆賞を獲得するなど、リコーダーの旗手として活躍している。
リコーダーは音楽教育の現場でも使われるなど身近な楽器でもあるが、プロフェッショナルが演奏すると、そのテクニック、響きがいかに違うか、驚きを感じるはず。そしてバロック音楽の豊かさ、そのバラエティの広さにも驚きを感じるはずだ。洋の東西を問わず、ひとつの「アート」の時代が浮かび上がるコンサートになりそうだ。
文:片桐卓也
【information】
ミュージアム・コンサート
「奇想の系譜展」記念コンサート vol.1 江崎浩司(リコーダー)
2019.3/17(日)14:00 東京都美術館 講堂
●出演
リコーダー、お話し:江崎浩司
バロック・ヴァイオリン:宮崎蓉子、大久保幸子
バロック・ヴィオラ:中島由布良
バロック・チェロ:高群輝夫
●曲目
【ザ・バロック――江戸の奇才、ヨーロッパの奇才】
ファルコニエーリ:3声のためのフォリア 二短調
ヴィヴァルディ:協奏曲 ニ長調 《ごしきひわ》 op.10-3 (RV90より)
エイク:《笛の楽園》より No.115 ナイチンゲール
ラモー:歌劇《優雅なインドの国々》より
2つのゼフィーロのエール
花々のエール
ヴィヴァルディ:協奏曲 ト短調 《夜》 op.10-2 (RV104より)
パーセル:セミ・オペラ《妖精の女王》より Monkey’s Dance
ブロウ:狩りのアルマンド
エイク:《笛の楽園》より No.7 かわいいマルティーナ
C.P.Eバッハ:バス・リコーダー、ヴィオラ&通奏低音のためのトリオソナタ ヘ長調
ヴィヴァルディ:協奏曲 ヘ長調 《海の嵐》 op.10-1(RV98より)
●チケット料金(税込)
全席自由¥2,100