【10月定期】プレトニョフのウィーン音楽

 演奏会の度にその独特のプログラミングが話題となるミハイル・プレトニョフが、ウィーンの作曲家による作品を並べたことは一見すると新鮮に映る。ピアニストの彼に、ウィーンの音楽は重要なレパートリーだけれど・・・。
 冒頭に置かれた「受難」交響曲はハイドン30代の作品。後年の「交響曲の父」のものとはまた違う、激しい感情があふれる作品でコンサートは始まる。続いて独唱にドイツで活躍する小野美咲(メゾ・ソプラノ)を迎えるマーラーの歌曲集「亡き子をしのぶ歌」はリュッケルトの詩による、痛ましくも美しい作品だ。そしてシューベルトは古典的に均整の取れた第5番と、二つの楽章からなる第7番「未完成」という対照的な2曲が選ばれた。全曲で「悲劇」を強く印象づけて、穏やかに静寂へと音楽は消えてコンサートは終わる。
 と見てくればわかる、これもまた実に“プレトニョフらしい”個性的な選曲だったのだ。一夜限りの“特別な”定期演奏会に期待したい。

ミハイル・プレトニョフ C)上野隆文

ミハイル・プレトニョフ C)上野隆文

小野美咲

小野美咲

第113回東京オペラシティ定期シリーズ
2017年10月18日(水) 19:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:ミハイル・プレトニョフ
メゾ・ソプラノ:小野美咲*

ハイドン/交響曲第49番「受難」
マーラー/亡き子をしのぶ歌*

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シューベルト/交響曲第5番
シューベルト/交響曲第7番「未完成」
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522(平日10:00〜18:00)