極上の音響空間に響く練達のドラマ
清水和音は今、ピアノ音楽の魅力を明確かつ衒いなく伝えてくれるピアニスト(特に男性奏者)として真っ先に名を挙げるべき存在だ。35年以上にわたって第一線で活躍を続ける彼は近年、持ち前の完璧な技巧と豊かな音楽性に深みや滋味を加え、1音1音が実在感を持った傾聴すべき演奏を聴かせている。広大なレパートリーの中でも、ベートーヴェンやブラームスといった独墺ものはまさに真骨頂。豪腕を微塵も感じさせずして生み出す奥行きのある音楽は、すこぶる魅力的だ。 この6月、彼はヤマハホールの「珠玉のリサイタル&室内楽」シリーズに登場。そうした独墺の王道名作を披露する。まずはベートーヴェン上昇期のソナタ第17番「テンペスト」で激しさやドラマ、晩年のソナタ第30番で内省的な叙情味を表出し、ブラームス晩年の「3つの間奏曲op.117」で寂寥の美を紡ぎ、シューベルトの傑作群の幕開けを告げるソナタ第14番で哀しみを秘めた歌を奏でる。切なさを湛えた短調作品に、枯淡の趣が漂う長調作品を交えたこの一夜に浸り、名手練達の情感を堪能したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年6月号より)
2019.6/25(火)19:00 ヤマハホール
問:ヤマハ銀座ビルインフォメーション
03-3572-3171
https://www.yamahaginza.com/hall/
*WEBサイト「La Valse by ぶらあぼ」オープン記念特典チケットサービスとして、会員登録(無料)に登録いただいた方を対象に、本公演に抽選で4名様をご招待。
応募詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。(申込みは終了しました)
https://member.ebravo.jp/
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