彼の強みは、圧倒的な技巧とダイナミクスに加えて、仏米独の環境に身を置き、オペラの演奏をも経験したがゆえの幅広い音楽性。その雄弁な表現力で楽曲の魅力をナチュラルに堪能させてくれる。しかも今回は、ヴァレーズ、フォーレ、ドビュッシー、ゴーベール、フランクの無伴奏曲や小品から本格ソナタに至る、近代フランス(系)プログラム。真の語法を身に付けた母国の音楽だけに、気品とエスプリ漂う王道演奏で聴く者を魅了すること間違いなしだ。ここは、333席の親密な空間に響く艶やかな音色と絶妙な節回しに、心置きなく酔いしれたい。ピアノは浦壁信二。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年5月号より)
2018.6/5(火)19:00 ヤマハホール
問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
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