ヤマハ銀座ビルの上階に位置するヤマハホール。高品質な木材を多用した安心感のある内装と音響をもち、「アコースティック楽器に最適なコンサートホール」として知られる、わずか333人だけのための特別な空間である。同ホールでは「感動を・ともに・つくる」をモットーとして主催公演を展開していて、このたび発表された2018年度のラインナップでも魅力的な出演者と企画が並ぶ。どれもが注目公演になるが、ここでは特に注目される公演をご紹介したい。
シーズン前半は、まず神尾真由子のヴァイオリン・リサイタル(4/21)をミロスラフ・クルティシェフのピアノと共に。両者とも07年チャイコフスキー・コンクールで最高位受賞、いまは公私ともにパートナーのふたりが、意欲的なプログラムを披露する。「伊藤亮太郎と名手たちによる弦楽アンサンブルの夕べ」(6/8)は、N響コンサートマスターの伊藤を中心に都内オケの首席クラスやソリストが集い、弦による室内楽の名品に挑む。世界を舞台に活躍を続けるソプラノの中嶋彰子とピアノの小菅優による「女と男の愛の生涯」をテーマとした公演(8/2)も話題を呼びそう。もちろん、舘野泉(5/24)、マルク=アンドレ・アムラン(6/20)、若林顕(6/29)、ジャン=マルク・ルイサダ(9/27)といった、内外の名ピアニストたちのリサイタルも、ヤマハホールの音響で存分に堪能できる。
シーズン後半は、多様な形態のアンサンブルを楽しめる。なかでも、最高峰の地位を維持し続ける名門、ジュリアード弦楽四重奏団(10/24)の登場は注目。ピアノの萩原麻未とヴォーチェ弦楽四重奏団(11/4)によるフランスの香りあふれる公演も楽しみで、ヴァイオリン成田達輝を迎えてのショーソンも予定。鬼才ピアニスト、ファジル・サイ(11/6)の登場は要チェック。この空間でどんなパフォーマンスを見せるのか予想がつかない。年明けには期待のヴァイオリニスト三浦文彰(19.1/17)が、チェリストのヨナタン・ローゼマンと共に出演するリサイタルも。
上記以外にもラインナップには実に多彩なアーティストとプログラムが並び、通して聴くことでより多くの発見と喜びがあるはず。聴衆も“ともに・つくる”充実の時間を、銀座の贅沢なホールで過ごしたい。
文:林 昌英
*2018年ラインナップの詳細は後日発表、下記のヤマハホールウェブサイトでご確認ください。