ピアノの時間——三浦友理枝(ピアノ) 

 当初は、ドビュッシーとラヴェルにほぼ特化されたプログラムとみていたが、そこは、独自のレパートリーの開拓に余念のない三浦友理枝のこと、全エネルギーを傾けて、今が旬のベスト・ラインナップを披露してくれることになった。

 まずはお得意のショパンの「雨だれの前奏曲」に始まり、ショパンと親交のあったシューマン夫妻の小品に移る。クララ・シューマンの「ロマンス イ短調」と、ロベルト・シューマンの「トロイメライ」である。そして、そのあとは機首をぐんと北へ向け、シベリウスの「もみの木 」、H.カスキの「秋の朝」(《3つの断片》 op.21 より)が続く。

 さらにロシアに目線を移し、スクリャービン「左手のための前奏曲とノクターン」op.9、ラフマニノフのあまりにも有名な「鐘の前奏曲 」を聴かせる。しかる後にフランスに上陸して、ドビュッシー、サティ、プーランク、ラヴェル、さらに南下してスペインのモンポウ! 
 これはもう、三浦友理枝だからこそ組める、珠玉のヨーロッパ漫遊プログラム。ピアノ・ファンには聴き逃せない。
文:萩谷由喜子


【公演情報】
ピアノの時間――三浦友理枝(ピアノ)

2020.3/20(金・祝)14:00
上野学園 石橋メモリアルホール

●出演
ピアノ:三浦友理枝

●曲目
ショパン:雨だれ (《24の前奏曲》 op.28 より)
C.シューマン:ロマンス イ短調
シューマン:トロイメライ (《子供の情景》 op.15 より)
シベリウス:もみの木 (《5つの小品 (樹木の組曲)》 op.75 より)
H.カスキ:秋の朝 (《3つの断片》 op.21 より)
スクリャービン:左手のための前奏曲とノクターン op.9
ラフマニノフ:鐘 (《幻想的小品集》 op.3 より)
ドビュッシー:月の光 (《ベルガマスク組曲》 より)
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女 (《前奏曲集 第1集》 より) 
ドビュッシー:夜想曲
サティ:ジムノペディ第1番
プーランク:エディット・ピアフを讃えて (《15の即興曲》 より)
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ ト長調
モンポウ:《内なる印象》より
  第1曲
  秘密
  ギター