N響のメンバーたちが、ベートーヴェンの生誕250年を機に、彼の室内楽曲のなかでも編成が珍しいゆえに演奏機会がそれほど多くないものを奏でるコンサート。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ファゴット、ホルンによる「七重奏曲」では、まさに小さなN響が味わえる。
モーツァルトの五重奏曲と同じ編成で書かれた「ピアノと管楽のための五重奏曲」は、N響の名手たち(オーボエの池田昭子、クラリネットの松本健司、ファゴットの宇賀神広宣、ホルンの木川博史)にピアノの佐藤卓史が加わる。
ヴィオラとチェロの二重奏というありそうでない編成で書かれた「2つのオブリガート眼鏡付き」というユーモラスなタイトルの作品が第1楽章だけでも演奏されるのは、とても貴重である。とりわけ、昨年、N響定期公演のベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」でソロを担ったヴィオラ首席奏者の佐々木亮がこの秘曲を奏でるのは楽しみである。
「アレグレット変ロ長調 WoO.39」は、ブレンターノ家の10歳の少女に献呈された、小さなピアノ三重奏曲。ヴァイオリンの森田昌弘、チェロの宮坂拡志、ピアノの佐藤の3人による。同じオーケストラのメンバー同士ならではの息の合った演奏が満喫できるコンサートになるに違いない。
文:山田治生
【公演情報】
N響メンバーによる室内楽
ベートーヴェン生誕250年によせて
2020.3/24(火)19:00 東京文化会館 小ホール
●出演
ヴァイオリン:森田昌弘
ヴィオラ:佐々木 亮
チェロ:宮坂拡志
コントラバス:稲川永示
オーボエ:池田昭子
クラリネット:松本健司
ファゴット:宇賀神広宣
ホルン:木川博史
ピアノ:佐藤卓史
●曲目
ベートーヴェン:
アレグレット 変ロ長調 WoO.39
ヴィオラとチェロのための二重奏曲 変ホ長調 WoO.32 《2つのオブリガート眼鏡付き》 より 第1楽章 アレグロ
ピアノと管楽のための五重奏曲 変ホ長調 op.16