東京・上野の春の風物詩「東京・春・音楽祭ー東京のオペラの森ー」(以下、東京春祭)が来春、15回目を迎える。この節目に、リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」を2021年まで3年間にわたり開催する。その概要が5月30日に行われた会見で明らかとなった。
(2018.5/30 東京都内 Photo:J.Otsuka/Tokyo MDE)
同アカデミーについて、ムーティの次男で、現地ラヴェンナでの同アカデミー・ゼネラルディレクターを務めるドメニコ・ムーティは次のように語る。
「マエストロは、これまで受けてきた偉大な演奏家たちからの教え、特にトスカニーニの指揮法を若い世代に伝え、イタリア・オペラを継承してほしいという想いでいます。過去の偉大な指揮者はご自身でピアノを弾いて歌手を指導し、オーケストラとのリハーサル準備を行ってきました。その過程やメソッドを若い世代に伝えていくことがマエストロ自身の義務であるとも考えています。このような試みをイタリアの少人数の方々だけでなく、広く多くの方に知っていただきたいと希望を持ち、日本での開催となりました」
「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」は、19年の初年度が3月28日から4月3日まで、3〜5名の指揮者受講生を対象に行われる(聴講生は別途募集、受講生含め応募条件あり)。演目は19年《リゴレット》、20年《マクベス》、21年《仮面舞踏会》。リハーサルではマエストロ自身による作品解説や直接指導が行われる。19年の初年度は、カリキュラム最終日の4月4日に、ムーティ指揮による《リゴレット》(演奏会形式/抜粋版、演奏:東京春祭特別オーケストラ、ソリスト:調整中)が上演される。また期間中、マエストロが自らピアノを弾きながら作品解説をするプログラムも予定されているという(詳細は決定次第発表)。
今回、同アカデミーを東京で行うに至った経緯を、東京春祭実行委員会実行委員長の鈴木幸一は、「東京春祭の新しい柱としていきたい。大巨匠のマエストロがどのように音楽を創っているのか、アカデミーのプログラムを通じて、より音楽を深く理解できる機会を提供していきたい。また、マエストロは正統派のヴェルディの指揮ができる唯一の方だと考えている。大指揮者が東京という場で『本当のヴェルディ』を継承していってほしいし、その機会を作ることが重要」と述べた。
また来春、東京春祭が15回目を迎えることに対して鈴木は、「東京春祭が少しずつ国際的な音楽祭として定着してきた。昨年《神々の黄昏》に出演したメゾソプラノの金子美香さんが、7月に上演されるバイロイト音楽祭《ワルキューレ》にグリムゲルデ役で出演することが発表され、日本の音楽祭から国際的な舞台で活躍するに至ったことが嬉しい。
東京春祭を発展させていく過程でこれまで難しいこともあったが、マエストロ・ムーティから『あらゆる音楽祭が発展するために最も重要なことは、継続することだ。続けることで違う展開ができ、音楽祭が初めて価値を持つ』と言われてきた。今後も次の発展に向けてやっていきたい」と想いを語った。
リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」
●指揮者(3〜5名)【2019-2020 2年連続受講】
応募資格:18歳以上、35歳以下の方(2018年4月1日時点)。国籍不問。指揮を学ぶ能力を有する方。音楽高校・大学・専門学校に在学または卒業しているか、それに準ずる能力を有し、プロの音楽家を志す方。日常会話レベルの英語能力を有する方。19年と20年の2年連続で全てのリハーサル及び公演に参加できることを条件とする。
応募期間:2018年10月1日(月)〜11月12日(月)
●聴講生(120名)【2019 単年聴講】
応募資格:30歳以下の方(2018年4月1日時点)。国籍不問。音楽高校・大学・専門学校に在学または卒業しているか、それに準ずる能力を有する方。全てのリハーサルを聴講できることを条件とする。
応募期間:2018年12月3日(月)〜2019年2月12日(火)(先着順)
※応募条件などの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」概要
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_5777.html
東京・春・音楽祭ー東京のオペラの森ー
http://www.tokyo-harusai.com/
リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミー」
http://www.riccardomutioperacademy.com/