N響メンバーによる室内楽

左より:山口裕之/宇根京子/飛澤浩人/川崎和憲/藤村俊介

 東京春祭に出演の定番団体のひとつが、元NHK交響楽団のコンサートマスター、山口裕之を中心とした弦楽四重奏団。すでに東京春祭では7年をかけてベートーヴェン全曲演奏を達成しており、じっくりと熟成してきたアンサンブルは評価が高い。2016年からブラームス作品に取り組んでいて、全3曲を1年1曲ずつ作りこんできた。さらに五重奏曲と、同じく全3曲のシューマンの四重奏曲を1曲ずつ組み合わせて、より重層的にブラームスへの理解が深まるプログラムともなっている。今回はブラームスの情熱と歌心を味わえる四重奏曲第2番と、晩年近くの熟達の書法と若々しい音楽が両立した五重奏曲第2番に、師匠シューマンの四重奏曲第3番。いずれ劣らぬ名作ぞろいだ。
 演奏はN響の現役とOBの名奏者たち。核となる四重奏団は、長くN響の顔を務めてきた山口はもちろんのこと、ほかの3人も現在のN響の中心的奏者であり、経験豊かな合奏能力と表現力は折り紙つき。五重奏曲のヴィオラに加わるのは、昨年に続き、やはり長くN響首席奏者を務めた川﨑和憲。安定感ある顔ぶれによるブラームスとシューマンで、いぶし銀の室内楽を堪能したい。

ミュージアム・コンサート
N響メンバーによる室内楽
~ブラームス弦楽四重奏曲 全曲演奏会 III

2018.4.10(火)19:00 国立科学博物館 日本館講堂

●出演
ヴァイオリン:山口裕之、宇根京子
ヴィオラ:飛澤浩人、川﨑和憲*
チェロ:藤村俊介

●曲目
シューマン:弦楽四重奏曲 第3番 イ長調 op.41-3
ブラームス:
 弦楽四重奏曲 第2番 イ長調 op.51-2
 弦楽五重奏曲 第2番 ト長調 op.111*

●料金
全席自由:¥3,600