合唱の大作に焦点を当て、演奏機会の多くない作品もハイレベルな演奏でその真価を紹介してきた、「東京春祭 合唱の芸術シリーズ」。その第4弾は、夭逝の天才、シューベルトを特集する。
31歳という短い生涯で名作を多数のこしたシューベルト。その最後の年に完成したミサ曲第6番は、穏やかな佇まいから深い感動を得られる大作である。殊に演奏機会の少ない「水上の精霊の歌」が取り上げられるのも希少にして貴重。男声合唱とヴィオラ・チェロ・コントラバスという中低音ばかりの弦楽器編成によるいぶし銀の美しさが光る、内省的かつ魅力的な名品で、今回のチャンスは逃せない。
ドイツ音楽の正統な継承者と目されるウルフ・シルマーの指揮で、シューベルトの本質を体験できるのもうれしい。「皆さんのイメージとは違った観点からシューベルトを紹介したいと考えました。彼の様々な側面や内面的な感情を紹介したい」と意気込みも強い(ぶらあぼ本誌3月号掲載のインタビューより)。ソリストもシルマー推薦のソプラノをはじめ、ドイツで経験豊かな一流歌手ぞろい。オーケストラは充実著しい東京都交響楽団。
そして、主役たる合唱は東京オペラシンガーズ。日本のトップ合唱団のひとつであり、数々のオペラの舞台や世界の一流指揮者・オーケストラとの共演を重ねている。東京春祭には13年間出演を続け、本シリーズのほか「東京春祭ワーグナー・シリーズ」「にほんのうた」シリーズも担当、音楽祭の中心的な存在である。
これ以上の顔ぶれはなかなか揃わないであろう、必聴のオール・シューベルトプログラムだ。
■東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.4 シューベルト 《ミサ曲》
〜夭折の作曲家による、最後のミサ曲
2017.4.9 [日] 15:00 東京文化会館 大ホール
■出演
指揮:ウルフ・シルマー
ソプラノ:オレナ・トカール
メゾ・ソプラノ:ウォリス・ジュンタ
テノール:パトリック・フォーゲル
バリトン:ペーター・シェーネ
管弦楽:東京都交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:マティアス・ブラウアー、宮松重紀
■曲目
シューベルト:水上の精霊の歌 D.714
シューベルト(ウェーベルン編):《6つのドイツ舞曲》 D.820
シューベルト:ミサ曲 第6番 変ホ長調 D.950
■料金
S席 ¥10,800 A席 ¥8,700 B席 ¥6,700 C席 ¥5,700 D席 ¥4,600 E席 ¥3,600 U-25※ ¥2,000
※U-25チケットは、公式サイトのみでの取扱い