上野恩賜公園には多くの美術館と博物館が立ち並ぶ。通常は音楽とは離れたそれらの空間で開催されるのが「ミュージアム・コンサート」。上野の森ならではの環境を活かした好シリーズであり、同音楽祭の重要な柱のひとつになっている。
本シリーズのなかでもとくに注目される公演のひとつが、国立科学博物館の〈ナイトミュージアム〉コンサートである。地球館の全フロアで複数回ずつ演奏が行われ、展示空間を自由に移動しつつ多彩な実演を聴けるという、普段ではありえないレア体験ができる、好評のコンサートだ。
今年の出演者は、東京都交響楽団首席ファゴット奏者の長哲也、読売日本交響楽団第2ヴァイオリン首席奏者の瀧村依里、東京国際ギターコンクール第1位など内外で活躍中のギター奏者の藤元高輝、音楽のジャンルをこえて幅広い活躍を続けるマリンバ奏者のSINSKE、邦楽器ユニットの「HIDE×HIDE」の活動でも注目を集める尺八奏者の石垣秀基と、すでに名手として知られる気鋭の奏者たちがそろった。そのうえ、同館名誉研究員たちのスペシャルトークも加わり、音楽にトークに展示物鑑賞にと、楽しみ方は限りない。
多くの展示物が鎮座する峻厳な空間で奏でられる音楽は、おのずと通常とは異なる空気をまとう。その体験は作品や演奏家の新たな魅力を発見できるチャンスにもつながっていく。
■国立科学博物館×東京・春・音楽祭
〈ナイトミュージアム〉コンサート
〜展示空間で楽しむ多彩な音楽とトーク
2017.3.23[木]19:00開演 (21:00終了予定)
国立科学博物館 地球館 常設展示室
■出演
〜 演奏 〜
ヴァイオリン:瀧村依里
チェロ:上村文乃
ファゴット:長 哲也
ギター:藤元高輝
マリンバ:SINSKE
ピアノ:阪田知樹
尺八:石垣秀基
〜 スペシャルトーク 〜
山田 格(独立行政法人国立科学博物館名誉研究員)
「哺乳類の適応」
溝口優司(独立行政法人国立科学博物館名誉研究員)
「楽器までも生み出した人類とは?」
■曲目
ピアソラ:組曲《タンゴの歴史》 より
パガニーニ:カンタービレ
エルガー:愛の挨拶
サン=サーンス:白鳥
アーノルド:幻想曲
オズボーン:ラプソディ
宮城道雄:春の海
/他
■料金
¥2,000(1ドリンク付)