『東京・春・音楽祭ー東京のオペラの森 2017ー』(開催期間:2017.3/16〜4/16、以下、東京春祭)の会見が10月24日に行われ、鈴木幸一・実行委員長、指揮者マレク・ヤノフスキらが出席した。
(2016.10.24 東京文化会館 Photo:J.Otsuka/TokyoMDE)
鈴木は席上、「上野というのは、最も志を持った文化ゾーン」と切り出し、「パリ、ロンドン、NYに匹敵するような文化ゾーンを作りたいということで明治6年から発展してきた上野に、東京文化会館が作られたのが昭和36年ですから日本で長く続いたプロジェクトではないか」との考えを述べ、今後の東京春祭について次のように語った。
「インフラだけではなく実際に、桜の咲く季節に西洋芸術の中でも頂点にあるといわれている“音楽”をたくさんの人々に聴いていただきたい。上野を育てていただいている商店街の方々や、東京で事業をしている方が協力をしていただいて、この音楽祭を盛り立ててもらおうということで企画した形が少しずつ形になってきています。東京に来れば“音楽”に触れられるという機会をできるだけ大きな形で作っていきたいと思っています。
私が生きている限りこの音楽祭を充実したものにしていきたい。聴いている方の記憶にしか残らないで消えていくという意味では、人間が生きていくことととても近い。音楽祭というものが実際のインフラと一緒になった時に素晴らしいフェスティバルになるのではないかと思います。一年一年積み重ねていきたい」
4年がかりの《ニーベルングの指環》プロジェクトが来春いよいよフィナーレを迎える。
「ワーグナー《指環》チクルスは私にとって非常に特別なもので、大きな喜び」と語るヤノフスキはまず、共演するNHK交響楽団について「1980、90年代に指揮をさせていただきましたが、クオリティの高いオーケストラで、再び共演できることを非常に嬉しく思います。ここ3年間に行ってきた、今年の《ジークフリート》、昨年の《ワルキューレ》、一昨年の《ラインの黄金》は、非常に芸術性の高い成功した公演ができてとても満足しています」との賛辞を贈った。
また、《指環》を演奏会形式で上演するということについては「まず演奏会形式での上演に興味を持たれること自体、とても素晴らしい」とし、「演奏会形式ではあるものの、舞台の奥にスクリーンを置き演奏を邪魔しない程度の、作品に合ったプロジェクションがなされていることは素晴らしい解決方法だと思います。ヨーロッパの舞台上で実際に歌い手達が動き、舞台装置があり演奏することと比較しても、素晴らしい舞台作品になると思っております。どのような形になるか今はまだ分かりませんが、素晴らしい形で完結させることを楽しみにしています」との意気込みを述べた。
東京春祭2017ではこのほか、『合唱の芸術シリーズ』として、「シューベルト『ミサ曲』」がウルフ・シルマー指揮、東京都交響楽団と東京オペラシンガーズによって上演。また、今年に引き続き、『ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽』も行われるほか、今年の春祭で《ジークフリート》のタイトルロールを歌い、その後バイロイト音楽祭に出演し、急激に注目を集めているアンドレアス・シャーガーが、ヴァイオリンのリディア・バイチとともに「Voice ’n Violin」に出演するのも注目だ。
好評のナイト・ミュージアム・コンサートは国立科学博物館に加え、新たに東京国立博物館での開催も予定している。
13回目の開催となる2017年は、東京文化会館を中心に無料を含め約150公演が行われる。『桜の街の音楽会』『東京春祭 for Kids』などの公演も前年同様に行う。
また、2018年の第14回ではエリーザベト・レオンスカヤによる「シューベルト・ソナタ・チクルス」が企画されていることも明らかにされた。
【チケット発売】
●先行発売
東京文化会館大ホール公演:11月6日〜
上記以外その他の公演:11月13日〜
●一斉発売:11月27日〜
●ミュージアム関連公演:12月8日〜
東京・春・音楽祭ー東京のオペラの森 2017ー
2017.3/16(木)〜4/16(日)
東京文化会館、上野学園 石橋メモリアルホール、国立科学博物館、東京国立博物館、東京都美術館、国立西洋美術館、上野の森美術館 他
問:東京・春・音楽祭実行委員会03-3322-9966
http://www.tokyo-harusai.com/