2016年の「東京・春・音楽祭」で、大きな驚きと感銘を受けたのが、リチャード・エガー&紀尾井シンフォニエッタ東京(当時)の公演だった。そのとき紀尾井シンフォニエッタは、普段稀なほど喜々として弾んだ演奏を展開。その愉悦感溢れる音楽を聴いて、同コンビでの再演を願わずにはおれなかった。
今年の東京春祭で、それが遂に実現する。イギリス生まれのエガーは、エンシェント室内管の音楽監督やチェンバロのソリストとして活躍しながら、ロンドン響やコンセルトヘボウ管なども指揮している、古楽界の新リーダーの一人。音楽と共演者を共に躍動させる稀有な才能は、前回の公演で実証されている。紀尾井ホール室内管は、1995年の同ホール開館時に前記の名で発足。ハイレベルの技術と音楽性をもち、2017年4月に改称後は、ウィーン・フィルのライナー・ホーネックを首席指揮者に迎えて、クオリティと一体感をさらにアップさせている。
前回はパーセルとヘンデルの歌を含む凝った内容だったが、今回はコレッリやヘンデルの合奏協奏曲に、ヴィヴァルディの「四季」とお馴染みのバロック合奏曲が並んでいるので、期待はいっそう膨らむ。「四季」のソロは、エンシェント室内管のコンサートマスター、ボヤン・チチッチ。キャリア豊富な彼のヴァイオリンも要注目だ。チェンバロを弾きながら音楽の喜悦を生み出す先導役と、ポジティブに応える楽団のこの清新なコラボは、幅広いファンにお薦めしたい。
文:柴田克彦
【公演情報】
紀尾井ホール室内管弦楽団 with リチャード・エガー
〜ヴィヴァルディ《四季》
2019.3/22(金)19:00 東京文化会館 小ホール
●出演
指揮/チェンバロ:リチャード・エガー
ヴァイオリン:ボヤン・チチッチ
管弦楽:紀尾井ホール室内管弦楽団
●曲目
コレッリ:合奏協奏曲 ヘ長調 op.6-2
I. Vivace – Allegro – Adagio
II. Allegro
III. Grave – Largo
IV. Allegro
ヘンデル:合奏協奏曲 ニ短調 op.6-10
I. Ouverture
II. Allegro
III. Air – Lento
IV. Allegro
V. Allegro
VI. Allegro moderato
コレッリ:合奏協奏曲 ニ長調 op.6-1
I. Largo – Allegro
II. Largo – Allegro
III. Largo
IV. Allegro
V. Allegro
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 《四季》
「春」 ホ長調 RV.269
I. Allegro
II.Largo
III.Allegro
「夏」 ト短調 RV.315
I. Allegro non molto
II.Adagio – Presto
III.Presto
「秋」 ヘ長調 RV.293
I. Allegro
II.Adagio molto
III.Allegro
「冬」 ヘ短調 RV.297
I. Allegro non molto
II.Largo
III.Allegro
●チケット料金(税込)
S¥7,700 A¥6,200 U-25¥1,500