WEBぶらあぼANNEX東京・春・音楽祭2018特設サイトでは、クラシック音楽に詳しい各界の著名人にそれぞれの立場から東京春祭の魅力と、おすすめ公演をアンケート、ご紹介する。第3弾は、横浜美術館や森美術館など、数々の美術館で公式トークガイドを担当するアートテラー・とに〜。
文:とに〜(アートテラー)
━━あなたにとっての東京春祭の魅力、楽しみ方は?
春は出会いの季節。東京春祭のシーズン中は、クラシック音楽と美術作品との意外な出会いを楽しむようにしています。あのコンサートと、あの展覧会を組み合わせみようか。先にコンサートを聴いて、音楽の余韻に浸りながら展覧会を鑑賞するのもいいですし、反対に美術作品に刺激を受けた後にコンサートを聴くのもいいですし。プログラムリストを眺めながら、いろいろと想像を巡らし、うんうん悩む。そんな時間も、また楽しいもの。そういう意味では、年末くらいから、すでに東京春祭は始まっています(笑)
━━おすすめ公演3つそれぞれお薦めポイント
●「ブリューゲル展」記念コンサート vol.1
坂本龍右(リュート)&ペリーヌ・ドゥヴィレール(ソプラノ)(3月18日)
労働に祝宴に、生き生きとした農民の姿を多く描いたブリューゲル一族。それらの絵の前で、耳を澄ますと陽気な音楽が聞こえてくるようです。この音色は、バグパイプやリュートでしょうか。あ、いや、すみません。リュートに関しては、当てずっぽうです。ブリューゲルをはじめ、よくフランドルの画家が題材としてリュートを描いているものですから。このコンサートを聴いて、リュートの音色をしっかりと耳に焼き付けたいと思います。皆さまも、どうぞこの機会に!
●「プラド美術館展」記念コンサート vol.2
宇治川朝政(リコーダー)、髙橋弘治 (バロック・チェロ)、佐藤亜紀子 (バロック・ギター& テオルボ)(3月27日)
ピカソ、ゴヤ、ダリ、すべてのスペイン絵画の生みの親・・・と言っても過言ではないベラスケス。そんなバロックの巨匠の名画が、日本史上最大となる7点も来日する “プラド美術館展”は、2018年春大本命の展覧会です。それだけに、バロック音楽の響きと合わせて、是非一日たっぷりかけて楽しみたいところ。展覧会を担当した川瀬学芸員のお話も聞けるのも魅力です。個人的には、テオルボ(リュートの仲間)の音色も楽しみ。
●ミュージアム・コンサート
東博でバッハ vol.39 上野耕平(サクソフォン)(3月29日)
国内には数多くの美術館がありますが、その中でも「建築が素晴らしい美術館は?」と聞かれたら、まず名を挙げるのが、法隆寺宝物館です。コンクリートやガラス、金属などをシンプルかつスタイリッシュに組み合わせた谷口吉生氏による現代的な建築が、日本最高峰の古代美術コレクション・法隆寺献納宝物に新たな魅力を与えています。『現代×伝統』が見事にマッチした素敵な空間で、上野耕平氏の演奏が聴けるとは!しかも、こちらも『現代×伝統』。上野氏のサクソフォンが、バッハの音楽にどう新たな息吹を吹き込んでくれるのか。期待が高まります!
【Profile】アートテラー・とに〜
日本でただ一人しかいない、アートテラー。「敷居が高い…」「難しい…」といった“美術”の負のイメージを払拭すべく、その魅力をわかりやすく、かつ面白くトークで伝える。よしもと芸人時代につちかったしゃべりの技術と、笑いのセンスで独自のトークガイドを展開。これまでに横浜美術館や森美術館など、数々の美術館で公式トークガイドを担当、最近では、雑誌、ラジオやテレビをはじめ、さまざまなメディアにも進出している。
アートテラー・とに〜の【ここにしかない美術室】 http://ameblo.jp/artony/
著書『ようこそ! 西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』
【公演情報】
●ミュージアム・コンサート
「ブリューゲル展」記念コンサート vol.1
坂本龍右(リュート)&ペリーヌ・ドゥヴィレール(ソプラノ)
2018.3.18(日)14:00 東京都美術館 講堂
●ミュージアム・コンサート
「プラド美術館展」記念コンサート vol.2
宇治川朝政(リコーダー)、髙橋弘治 (バロック・チェロ)、佐藤亜紀子 (バロック・ギター& テオルボ)
2018.3.27(火)11:00 14:00 国立西洋美術館 講堂
●ミュージアム・コンサート
東博でバッハ vol.39 上野耕平(サクソフォン)
2018.3.29(木)19:00 東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール