「トリオ・アコード」は、2003年に、東京藝術大学に在学中であったヴァイオリンの白井圭、チェロの門脇大樹、ピアノの津田裕也の3人によって結成されたピアノ三重奏団。現在、白井と津田はソリストして活躍し、門脇は神奈川フィルの首席奏者を務めている。そんな彼らが、ベートーヴェンの生誕250年に際し、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲全曲演奏に取り組む。
第3日は、ベートーヴェンの最も人気の高いピアノ三重奏曲である、第7番「大公」が取り上げられる。ベートーヴェンが40歳を越え、後期に差し掛かろうとしている時代の作品。「大公」のニックネームはベートーヴェンのパトロンであり弟子でもあったルドルフ大公に捧げられたことからきているが、その音楽は格調が高く、スケールも大きい、まさに傑作である。
ベートーヴェンは、自身の作品1の番号を、最初の3曲のピアノ三重奏曲に付した。ピアノ三重奏曲第3番は、ハ短調で書かれた意欲的な作品。「創作主題による14の変奏曲」はピアノ三重奏曲第10番と呼ばれることもあるが、実際は1792年頃に書かれたものであり、この日演奏される3曲のなかでは、最も初期の作品にあたる。つまり、第3日は、ベートーヴェンの最初期の意欲作から、彼のこのジャンルでの集大成となった「大公」までが楽しめる。
また、演奏会場が歴史的建造物である旧東京音楽学校奏楽堂であることにも注目したい。
文:山田治生
【公演情報】
Trio Accord――白井 圭(ヴァイオリン)、門脇大樹(チェロ)、津田裕也(ピアノ)
ベートーヴェン ピアノ三重奏曲 全曲演奏会 III
2020.3/21(土)15:00 旧東京音楽学校奏楽堂
●出演
トリオ・アコード
ヴァイオリン:白井 圭
チェロ:門脇大樹
ピアノ:津田裕也
●曲目
ベートーヴェン:
ピアノ三重奏曲 第10番 変ホ長調 op.44 《創作主題による14の変奏曲》
ピアノ三重奏曲 第3番 ハ短調 op.1-3
ピアノ三重奏曲 第7番 変ロ長調 op.97 《大公》