長年在籍した東京クヮルテットを離れ、ソリスト・教育者として新たな人生を歩み始めた原田禎夫が2012年から東京春祭でスタートさせた「原田禎夫 チェロ・シリーズ」が、いよいよ最終章を迎える。
vol.5の3月22日、ジュリアン・スツルマン、今井信子を迎えて「ゴルトベルク変奏曲」を演奏した原田が最後に挑むのは、「何よりも音楽そのものが素晴らしい。ベートーヴェンが大好きだし心から尊敬している」というベートーヴェンのソナタ。その音を紡ぎ出す原田の愛器は、1743年製の「ガダニーニ」。1985年に入手してから、30年近く、ともに世界中を巡ってきた。
「目が釘付けになり、まさに吸い込まれるように引きつけられてしまったんです。弾いてみたら、やはり素晴らしくて……。とても借金できるような状態じゃなかったんだけど、どうしようもなく惚れちゃった。気持ちを抑えきれなかったんです。諦めるということができなかった。本当にラッキーだったんです。ほしくても、なかなかそういう望むような楽器に巡り会う人も少ない。本当に惚れた楽器との出会いは、僕の人生を豊かにしてくれた。すべては巡り合わせなんだな、と改めて思いました」
原田と長年共演してきたピアニスト加藤洋之とともに、有終の美を飾る。
原田禎夫 チェロ・リサイタル
〜ベートーヴェンを弾く
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_1844.html
■日時・会場
4.4 [金] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール
■出演
チェロ:原田禎夫
ピアノ:加藤洋之
■曲目
ベートーヴェン:
チェロ・ソナタ 第2番 ト短調 op.5-2
チェロ・ソナタ 第4番 ハ長調 op.102-1
チェロ・ソナタ 第5番 ニ長調 op.102-2
当日券は、S ¥4,000 A ¥3,000 を、18:15より
東京文化会館 小ホール当日券窓口にて販売。
『チェリスト・原田禎夫』
第1回 恩師・齋藤秀雄
第2回 「東京クヮルテット」誕生前夜
第3回 「東京クヮルテット」デビュー!
第4回 世界をめぐる「東京クヮルテット」
第5回 東京クヮルテットとの別れ
最終回 終わることのない旅