「日本のホルン演奏の歴史を変えた」と賞されるNHK交響楽団の首席ホルン奏者・福川伸陽が、同世代の仲間たちとおくるコンサート。
福川は、超絶的な技巧と柔らかな音色を駆使してニュアンスに富んだ演奏を聴かせる、これまで日本にいなかったタイプの名手。ソロや室内楽でも多彩な活動を行い、東京春祭でも活躍している。今回のメンバーは、ソリストやN響、東響等の首席クラスの奏者が12名集った豪華版。オールスターキャストによる10人規模の合奏を耳にする機会など滅多にないだけに、生体験するだけでも足を運ぶ価値がある。
演目はまず、管楽作品の中でも屈指の名作、モーツァルトのピアノと管楽器のための五重奏曲。今回はこれが20世紀フランスのエスプリに富んだ作曲家フランセの編曲による九重奏曲の形で演奏される。管楽器用法に長けたフランセが生み出すサウンドは期待度十分だ。2曲目は藤倉大のホルン協奏曲第2番よりパート1。2017年ヴェネツィア国際現代音楽祭で初演された福川の委嘱作で、今回は室内オーケストラ版の世界初演となる。売れっ子作曲家・藤倉がホルンの概念を覆した作品を、ぜひ生体験したい。最後はブラームスのセレナード第1番の十重奏版。20代のブラームスが書いた爽やかで活気溢れる名作(元々は室内楽編成)だが、生演奏は稀なので、真価に触れる貴重なチャンスとなる。
ここは、名手たちによる妙技と新鮮な音楽を併せて堪能しよう!
文:柴田克彦
【公演情報】
福川伸陽(ホルン)& Friends
〜モーツァルト、藤倉 大、ブラームス
2019.3/30(土)18:00 東京文化会館 小ホール
●出演
ホルン:福川伸陽
ヴァイオリン:水谷 晃、小関 郁
ヴィオラ:佐々木 亮
チェロ:横坂 源
コントラバス:幣 隆太朗
フルート:上野星矢
オーボエ:荒 絵理子
クラリネット:亀井良信
ファゴット:福士マリ子
打楽器:竹島悟史
ピアノ:中川 賢一
●曲目
モーツァルト(フランセ編):九重奏曲(ピアノと管楽器のための五重奏曲)
I. Largo – Allegro moderato
II. Larghetto
III. Allegretto
藤倉 大:ホルン協奏曲 第2番 よりパート1(室内オーケストラ版/世界初演)
ブラームス(ネックス編):セレナーデ 第1番 ニ長調 op.11 (十重奏版)
I. Allegro molto
II. Scherzo. Allegro non troppo
III. Adagio non troppo
IV. Minuet 1 – Minuet 2
V. Scherzo. Allegro
VI. Rondo. Allegro
●チケット料金(税込)
S¥5,200 A¥4,100
U-25¥1,500
※ U-25チケットは、2019年2月8日(金)12:00発売開始(公式サイトのみでの取扱い)