WEBぶらあぼANNEX東京・春・音楽祭2018特設サイトでは、クラシック音楽に詳しい各界の著名人にそれぞれの立場から東京春祭の魅力と、おすすめ公演をアンケート、ご紹介する。第4弾は、『久米宏 ラジオなんですけど』等、ラジオ・テレビの番組に多数出演し、「東京・春・音楽祭」の特別番組も3年にわたり担当しているTBSアナウンサー・堀井美香。

文：堀井美香（TBSアナウンサー）

━━あなたにとっての東京春祭の魅力、楽しみ方は？
　春遠き頃プログラムを手に、さてどの公演に行こうかと心躍らせる瞬間から私の東京春祭は始まっています。いつもより少しだけ綺麗にしてワーグナー、バッハ、ため息が出るような旋律美を浴びる贅沢。春匂い立つ上野で天上の音楽に触れるたび春のスタートにふさわしい高揚感で満たされます。桜の街の音楽会も見逃せません。毎年100箇所以上で無料で行われるこの音楽会。演奏者や事務局の方の東京春祭愛を感じます。街に弾む音楽に人々が暫し足を止める。こんな東京の姿がみられるのも東京春祭ならではです。

━━おすすめ公演3つそれぞれお薦めポイント

■郷古廉（ヴァイオリン）＆加藤洋之（ピアノ）
ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会Ⅱ（4月13日）

　3年完結のベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ」全曲演奏の2年目。昨年は仕事の為断念。スプリング・ソナタを聴き逃したことに涙しました。そして今年は第7番8番（4番6番もありますが）。客席のこちら側も気迫をもって臨むつもりです。郷古さんのヴァイオリンと加藤氏のピアノ。お二人の音が反響し、うねり、生み出すエネルギーを感じたい。春にベートーヴェンを聴くと力がでます。

 

 

 

 

■ミュージアム・コンサート
「東博でバッハ」シリーズ（3月17日、3月22日、3月29日、4月4日、4月11日）

　東京国立博物館法隆寺宝物殿エントランスホールや平成館ラウンジでピアノ、チェロ、サクソフォンと毎回異なるバッハを奏でるシリーズ。2年前の東京春祭、ここでエマヌエーレ・セグレさんのギターを聴きました。雨の夜、何層にも聴こえる音色が暗闇の中に溶けていったのを覚えています。桜雨や花筏…公演の時期により法隆寺宝物館エントランス一面のガラスに映る景色は妖艶に変わり、それぞれの音色が重なる様はなんとも風雅であります。是非一度体験していただきたい世界です。

■東京春祭ワーグナー・シリーズ「ローエングリン」（4月5日、8日）

　もちろんワーグナー・シリーズは外せません。そして今年は「ローエングリン」。ごめんなさい、正直一番好きです。ローエングリンが地上に降り立つ前奏曲、エルザが聖堂に入るシーン。結婚行進曲も断然ワーグナー派です。その上、クラウス様のローエングリン。名告げのシーンでローエングリンに酔えば理性を失ってしまいそうです。ペトラ・ラングさんの超絶意地悪なオルトルートが見られるのも最高です。

 

 

 

 

【Profile】堀井美香
TBSアナウンサー。1972年生まれ。これまでに担当した主な番組は『王様のブランチ』『とんねるずのカバチ』『THE 世界遺産（ナレーション）』等多数、現在はラジオ『久米宏 ラジオなんですけど』『竹中直人〜月夜の蟹〜』等を担当。大学生の長女にクラシックの素晴らしさを伝授中。
2018年2月25日TBSラジオで放送される特別番組「春は上野へ、クラシック音楽の祭典　東京・春・音楽祭スペシャル2018」を担当。（この番組は、放送後、特設サイトで音楽祭終了までお聴き頂けます。）

 

 

 

 

【公演情報】

●郷古廉（ヴァイオリン）＆ 加藤洋之（ピアノ）
ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会Ⅱ
2018.4/13（金）19:00　東京文化会館 小ホール

●ミュージアム・コンサート
東博でバッハ

vol.37 野平一郎 （ピアノ）
2018.3/17 （土）19:00　東京国立博物館 平成館ラウンジ

vol.38 工藤すみれ（チェロ）
2018.3/22 （木）19:00　東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール

vol.39 上野耕平（サクソフォン）
2018.3/29 （木）19:00　東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール

vol.40 島田真千子（ヴァイオリン） & 北谷直樹（チェンバロ）
2018.4/4 （水）19:00　東京国立博物館 平成館ラウンジ

vol.41 川田知子（ヴァイオリン）

2018.4/11 （水）19:00　東京国立博物館 法隆寺宝物館エントランスホール

●東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.9
《ローエングリン》
（演奏会形式／字幕・映像付）
2018.4/5 （木）17:00、4/8 （日）15:00　東京文化会館 大ホール