東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.3 デュリュフレ「レクイエム」


 早くも春の話題。東京の桜の季節の風物詩「東京・春・音楽祭」のフィナーレを飾るのは、今年も東京オペラシンガーズと東京都交響楽団による「合唱の芸術」シリーズだ。これで3年連続。
 2005年に『東京のオペラの森』としてスタートした同音楽祭は、オペラや声楽にウェイトを置いているのも特徴のひとつだが、その中でレジデント合唱団的な存在で第1回から(08年までは「東京のオペラの森合唱団」として)連続出演しているのが東京オペラシンガーズ。名称の「オペラ」だけではなくコンサートでも大活躍なのはご存知のとおり。14年、10周年を迎えた音楽祭の新たな一歩を示す企画として、彼らをフィーチャーして始まったのが『合唱の芸術』シリーズだ。
 初年のドイツの合唱名曲によるガラ・コンサートが好評を博し、昨年の大野和士指揮によるベルリオーズ「レクイエム」(写真右)は上演前から大きな話題を呼んだ。ティンパニ8対が舞台に並ぶ風景だけでも圧巻の大音響スペクタクルだったベルリオーズから一転、今年はデュリュフレ「レクイエム」。1947年の作品だが先鋭的な手法は用いられず、グレゴリオ聖歌を多用した静かで美しい祈りの歌。声そのものやハーモニーの美しさが要求される作品が、東京オペラシンガーズの水準高い歌声で聴ける。バリトンは世界各地の一流歌劇場に何度も登場しているクリストファー・マルトマン。指揮は、78年生まれのレオ・フセイン。ゲルギエフやラトルが認めた才能を存分に羽ばたかせる英国出身の新鋭指揮者の登場も聴き逃せない。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年2月号から)

4/17(日)15:00 東京文化会館
問:東京・春・音楽祭チケットサービス03-3322-9966
http://www.tokyo-harusai.com