東京春祭 for Kids 子どものためのワーグナー《パルジファル》

 「東京春祭 for Kids 子どものためのワーグナー」はドイツ・バイロイト音楽祭との提携公演で、東京・春・音楽祭では2019年に《さまよえるオランダ人》が制作され、今年の《パルジファル》で2回目となる。かのリヒャルト・ワーグナーのひ孫で現在バイロイト音楽祭総監督を務めるカタリーナ・ワーグナーが芸術監督を務め、彼女のチームも加わって舞台作りが行われる本格的なもの。今年は海外からの入国制限の厳格化などでカタリーナ総監督らが来日できないものの、リモートで稽古に立ち会うなどして準備が進められた。

 この企画、バイロイトでは未来のワグネリアンを育てオペラ文化のすそ野を広げることを目的に同総監督の肝いりで09年にスタート。6歳から10歳くらいの子どもを対象に、ハンス・アイスラー音楽大学のムジーク・テアター演出部門と共同で1年に1作ずつ制作され、既に同音楽祭で上演される全作品がレパートリーとして網羅されている。

子どものためのワーグナー《さまよえるオランダ人》(2019年公演)より
(C)東京・春・音楽祭実行委員会/増田雄介

 東京春祭版は長大な作品を約1時間に凝縮し、日本語のセリフと音楽の聴きどころを選りすぐった抜粋(原語)で作品のエッセンスを分かりやすく楽しめる。子どもはもちろんこれからワーグナーを聴いていこうという大人にもうってつけの内容となっている。

 《パルジファル》はワーグナー最後の舞台作品で、ヨーロッパに古くから伝わる「聖杯伝説」が題材。聖杯とはキリストが最後の晩餐で使った盃を持つ者が永遠の命を授かるという魔法の盃。映画『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』にも登場する。演奏は国内外のオペラ劇場で活躍する石坂宏が指揮を、日本の実力派若手歌手と臨時編成される東京春祭オーケストラが担う。主要オケで首席奏者などを経験した腕利き音楽家らが織りなす高水準のアンサンブルによって、室内楽のような精妙さでワーグナーの音世界に触れることができる。
文:宮嶋 極(音楽ジャーナリスト)

子どものためのワーグナー《さまよえるオランダ人》(2019年公演)より
(C)東京・春・音楽祭実行委員会/増田雄介


【公演情報】
東京春祭 for Kids
子どものためのワーグナー《パルジファル》
(バイロイト音楽祭提携公演)

2021.3/27(土)14:00、3/28(日)14:00、3/31(水)18:30、4/3(土)14:00、4/4(日)14:00[各回約60分]
三井住友銀行東館ライジング・スクエア1階 アース・ガーデン

※ライブ・ストリーミングは3月27日(土)、3月31日(水)の2公演のみ配信

●出演
指揮:石坂 宏
アムフォルタス(バリトン):大沼 徹
ティトゥレル(バス):河野鉄平
グルネマンツ(バス):斉木健詞
パルジファル(テノール):片寄純也
クリングゾル(バリトン):友清 崇
クンドリ(ソプラノ):田崎尚美
クリングゾルの魔法の乙女たち:横山和美、金持亜実、首藤玲奈、江口順子
助演:山口将太朗、北村真一郎、浅野郁哉
管弦楽:東京春祭オーケストラ
芸術監督:カタリーナ・ワーグナー

●曲目
ワーグナー:舞台神聖祝典劇《パルジファル》(編曲版)
※台詞部分は日本語、歌唱部分はドイツ語での上演。

●料金(税込)
ファミリーシート:子ども¥2,500 保護者¥3,500 
※大人のみで来場希望の方には、残席がある場合に限り3/21(日)10:00より受付(1名¥6,000)
ライブ・ストリーミング配信 ¥2,000

【来場チケット販売窓口】
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https://www.tokyo-harusai.com/ticket_general/
●東京文化会館チケットサービス(電話・窓口)
TEL:03-5685-0650(オペレーター)

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