昼下がりのアルゼンチン・タンゴ

 クラシック音楽を愛する聴き手にとって、アルゼンチン・タンゴへの扉はアストル・ピアソラが開いてくれたといえるだろう。ギドン・クレーメルやヨーヨー・マらによって奏でられたピアソラの音楽はたちまち多くの聴き手を魅了し、クラシック音楽史における重要な作曲家として再認識されたのだ。しかしその歴史はまだまだ浅く、1980年代になってから。だからこそ奥深い世界と隠れた名曲がまだまだ残されており、“自分だけの名曲”を見つけるチャンスもある。  

 星の数ほどもあるタンゴ・ナンバーから、期待のバンドネオン奏者である仁詩(Hitoshi)と仲間たちがセレクトするプログラムは、入門者にもやさしい「アルゼンチン・タンゴ・グレイテスト・ヒッツ」といえるラインナップ。カルロス・ガルデル作の「首の差で」で始まる今回のライヴは、ピアソラの「天使のミロンガ」、マトス・ロドリゲスの「ラ・クンパルシータ」、仁詩のオリジナル・ナンバー「タンゴ・テンペスト」などが輝きを放つ。作者名や曲名は知らなくても、聴いてみると「あ、この曲は!」と驚くこともあるはずだ。  

 タンゴの音楽をさまざまなアプローチで奏でる5人のミュージシャンたち、そして音楽によって命を吹き込まれたリズムと一体化するズーハン&キョウコのダンス。ステージと客席の熱気がホールをアツくする午後を、ぜひ体験してほしい。
文:オヤマダアツシ

左より:仁詩、田中庸介、阿部篤志、ズーハン&キョウコ
下段左より:会田桃子、田辺和弘

*新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い、本公演は中止となりました。(3/26主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
https://www.tokyo-harusai.com/news_jp/20200326/


【公演情報】
昼下がりのアルゼンチン・タンゴタンゴ
史に輝く古今の名曲を集めて

2020.3/27(金)15:00 東京文化会館 小ホール

●出演
仁詩 Banda Nova
 バンドネオン:仁詩
 ギター:田中庸介
 ピアノ:阿部篤志
ヴァイオリン:会田桃子
コントラバス:田辺和弘
ダンス:ズーハン&キョウコ
※当初発表の出演者より変更になりました。

●曲目 曲目解説PDF
ガルデル:首の差で
アローラス:マイポ ※
サルガン:ドン・アグスティン・バルディに捧ぐ
仁詩: フェリクス
ピアソラ:天使のミロンガ
カルロス・コビアン: 酔どれたち
ラウレンス:私に愛しいミロンガ  ※
ピアソラ:ブエノスアイレスの夏
マトス・ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
メロ: 心の底から  ※
プラサ:ノスタルヒコ
ピアソラ:鮫
ロビーラ:エバリスト・カリエゴに捧ぐ ※
仁詩: タンゴ・テンペスト
ピアソラ:忘却
ピアソラ:アディオス・ノニーノ
※ダンス付き