ピアニスト、作曲家として活躍するだけでなく、ユニークな切り口とわかりやすさが評判の「クラシック講座」でも人気の、加藤昌則。彼の発案でスタートした、東京春祭で5年間をかけておこなわれる「ベンジャミン・ブリテンの世界」シリーズが、今年も開催される。
5回で徐々に大きな編成の作品をとりあげていくという計画のもと、第1回、第2回の室内楽に続く第3回でクローズアップするのは、「歌を伴う器楽アンサンブル」作品。室内合唱にハルモニア・アンサンブルを迎え、戦争に反対する立場をとったブリテンが第二次世界大戦中に書いた宗教曲である「聖チェチーリア賛歌」や「キャロルの祭典」などを取り上げる。
ブリテンについて加藤は、「調性音楽を放棄していないながら、新しく、聴いたことのないサウンドがある。わかりやすいインパクトはないけれど、じわじわくる魅力がある。これが現代における音楽の一つのアプローチだと、作品の中で語っている気がする」と話す。
20世紀に生まれた宗教曲の神聖な美しさを通じ、ブリテンの魅力を深く知るチャンスを与えてくれる公演だ。
文:高坂はる香
【公演情報】
ベンジャミン・ブリテンの世界III
〜20世紀英国を生きた、才知溢れる作曲家の肖像
2019.4/7(日)14:00 東京藝術大学奏楽堂(大学構内)
●出演
指揮・企画構成・お話:加藤昌則
ハープ:山宮るり子
合唱:ハルモニア・アンサンブル
ソプラノ:浅川礼奈、大田茉里、金持亜実、高松令美、松島理紗
アルト:石田彩音、石原陽香瑠、岩渕絵里、斉藤歌織、高橋幸恵、前島眞奈美
テノール:金沢青児、沼田臣矢、星野文緑、松岡大海
バス:奥村泰憲、河野陽介、小池優介、高田慧一
合唱指揮:福永一博
●曲目
ブリテン:
夜の小品
金曜日の午後 op.7 より
1.うっとうしい悩みよ、去れ
3.カッコウ!
12.オールド・アブラム・ブラウン
聖チェチーリア賛歌 op.27
1.庭の木陰で
2.私は成長できません
3.ああ、耳よ、そこから生まれ出るものは
ハープのための組曲 op.83
I. Overture
II. Toccata
III. Nocturne
IV. Fugue
V. Hymn St Denio
キャロルの祭典 op.28
1.入堂
2.主の降誕を歓迎!
3.そのようなバラはない
4a.あの幼児が
4b.子守り歌(ソプラノ・ソロ:松島理紗)
5.四月の露のように
6.この赤子が
7.間奏曲
8.凍りつく冬の夜に(ソプラノ・ソロ:松島理紗、テノール・ソロ:金沢青児)
9.春のキャロル(ソプラノ・ソロ:松島理紗、金持亜実)
10.神に感謝
11.退堂
●チケット料金(税込)
S¥4,100 A¥3,100
U-25¥1,500
※ U-25チケットは、2019年2月8日(金)12:00発売開始(公式サイトのみでの取扱い)