野平一郎は、日本の代表的な作曲家のひとりであり、さらに、作曲家としての知性にピアニスティックな技巧と美音とをあわせもつ稀有なピアニストでもある。彼の弾く20世紀作品や現代作品はもちろん常に聴きものであるが、18,19世紀の作品でも、聴衆に新たな視点と感銘を与える独自の演奏は評価が高く、その演奏活動は見逃せないものとなっている。
その野平が、東京春祭の「東博でバッハ」シリーズに参戦。J.S.バッハは三世紀も前の作曲家ながら、その知的な論理性と深い芸術性はいまだ別格の存在。それが野平の作曲家としての目で再構成されるとなればおおいに注目したい。ブゾーニの名編曲によるコラール前奏曲2曲や、野平自身のバッハにまつわる新作初演もまじえる、彼ならではのプログラミングも光る。また、バッハのシンフォニア(三声のインヴェンション) BWV787〜801全曲が取り上げられるのにも期待。実演で聴けるのは貴重で、野平の演奏でその真価が浮かび上がるに違いない。そして最後はイタリア協奏曲で音楽の喜びを伝えてくれる。
■ミュージアム・コンサート
東博でバッハ vol.37 野平一郎 (ピアノ)
2018.3/17(土)19:00 東京国立博物館 平成館ラウンジ
●出演
ピアノ:野平一郎
●曲目
J.S.バッハ(ブゾーニ編):コラール前奏曲「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」 BWV645
J.S.バッハ:
フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV817
シンフォニア BWV787~801
《平均律クラヴィア曲集 第1巻》より
第1番 ハ長調 BWV846
第2番 ハ短調 BWV847
第3番 嬰ハ長調 BWV848
第8番 変ホ短調 BWV853
J.S.バッハ(ブゾーニ編):コラール前奏曲「来たれ、異教徒の救い主よ」BWV659
野平一郎:バッハによるトランスフォルマシオンIV(世界初演)
J.S.バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
●料金
全席自由:¥3,600