東京春祭マラソン・コンサート

 体験機会の希少な作品や公演スタイルに出会うことができるのも、音楽祭の楽しみのひとつ。とくに東京春祭では、音楽作品と歴史・背景などを関連づけて体験できる、“楽しみながら学べる”公演が多く、その代表的存在が「マラソン・コンサート」だ。
 ひとつのテーマを様々な視点で紹介し、11時から一日中、こだわりの5公演が開催される「マラソン・コンサート」。第7弾となる今年のテーマは「《ロマン派》〜近代に生きた芸術家たち」。19世紀ヨーロッパという時代を、多様な「ロマン派」の作品を通じて浮き彫りにする。19世紀初頭のベートーヴェン、ゴセックから、世紀末に近づいた時期のブラームス、J.シュトラウス2世の作品まで、とにかく多種多彩な作曲家と作品が次々に紹介されていく。挙げきれないほどの出演者陣には活躍中の俊英たちがずらりと並び、多様な組み合わせで佳品の数々を高水準かつ楽しく聴かせてくれる。その作品群に筋を通すのが、ヨーロッパ文化史研究家の小宮正安。本公演の企画構成を担当し、全公演でトークもおこない、楽しさと学びを与えてくれる。深い知的充実感を味わえる週末の一日になる。

東京春祭マラソン・コンサート vol.7
《ロマン派》〜近代に生きた芸術家たち

2017.4.8 [土] 東京文化会館 小ホール

【第Ⅰ部】11:00開演 
胎動の時代 ~革命とナポレオンと・・・

上段左より:松田理奈 C)Shigeto Imura 02、松原勝也、山本美樹子、吉田 篤、山澤 慧
下段左より:難波 薫、松尾俊介、川島 基、浜野与志男 C)Shigeto Imura

■出演
ヴァイオリン:松田理奈、松原勝也、山本美樹子
ヴィオラ:吉田 篤
チェロ:山澤 慧
フルート:難波 薫
ギター:松尾俊介
ピアノ:川島 基、浜野与志男

■曲目
ベートーヴェン(チェルニー編):《エグモント》 序曲 (ピアノ4手)
ゴセック:ガヴォット
ゴセック:タンブラン
リスト編:ラ・マルセイエーズ
パガニーニ:ナポレオン・ソナタ
ルイ・フェルディナント:ピアノ四重奏曲 ヘ短調 op.6 より 第3楽章
ケルビーニ:弦楽四重奏曲 第1番 変ホ長調 より 第1楽章

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【第Ⅱ部】13:00開演
停滞の時代 ~ビーダーマイヤーの文化

左より:石田紗樹、大倉礼加、七澤達哉、飯島哲蔵、前川健生

■出演
ヴァイオリン:石田紗樹、大倉礼加、松原勝也、山本美樹子
ヴィオラ:七澤達哉、吉田 篤
チェロ:飯島哲蔵、山澤 慧
ギター:松尾俊介
テノール:前川健生
ピアノ:浜野与志男

■曲目
ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》 序曲(弦楽四重奏版)
チェルニー:《ワルツ集》より
クルフト:弦楽四重奏曲 第1番 より 第1楽章
F.X.モーツァルト:6つの物憂きポロネーズ op.17 より 第2番
シューベルト(ディアベリ編):
 どこへ?
 魔王
シュポア:二重弦楽四重奏曲 第1番 二短調 より
 第3楽章 ラルゲット
 第4楽章 アレグレット・モルト

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【第Ⅲ部】15:00
変革の時代 ~「1848年」という転換点(ターニングポイント)

左より:竹間久枝、梅園絵美子、藪内俊弥、佐藤卓史、佐野隆哉、湯浅加奈子

■出演
ヴァイオリン:松田理奈、松原勝也、山本美樹子
ヴィオラ:吉田 篤
チェロ:山澤 慧
ギター:松尾俊介
マンドリン:竹間久枝、横山宏治
マンドラ・テノール:大前美由紀
マンドロンチェロ:小林 薫
ソプラノ:梅園絵美子
バリトン:藪内俊弥
ピアノ:佐藤卓史、佐野隆哉、湯浅加奈子

■曲目
ニコライ(ムニエル編):歌劇《ウィンザーの陽気な女房たち》序曲(マンドリン、ギター版)
ショパン:12の練習曲 より 第12番 ハ短調 op.10-12《革命》
アルカン:練習曲《鉄道》 op.27
フェーリクス&ファニー・メンデルスゾーン:《12の歌》より
 イタリア
 故郷への想い
 夕べの歌
 魔女の歌
J.シュトラウス:シュペルル・ギャロップ op.42
ベッヒャー:スケルツォ

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【第Ⅳ部】17:00
繁栄の時代 ~成功するブルジョアたち

ザ・レヴ・サクソフォン・クヮルテット

■出演
ヴァイオリン:松田理奈、松原勝也
ザ・レヴ・サクソフォン・クヮルテット
 ソプラノサクソフォン:上野耕平
 アルトサクソフォン:宮越悠貴
 テナーサクソフォン:都築 惇
 バリトンサクソフォン:田中奏一朗
ソプラノ:梅園絵美子
バリトン:藪内俊弥
ピアノ:佐藤卓史、佐野隆哉、湯浅加奈子

■曲目
ヴェルディ(メルキオーリ編):歌劇《椿姫》前奏曲~第1幕冒頭~乾杯の歌
シューマン(ライネッケ編):
交響曲 第3番 op.97 《ライン》 より 第4楽章(ピアノ4手)

ヴェルディ(メルキオーリ編):歌劇《椿姫》前奏曲~第1幕冒頭~乾杯の歌
シューマン(ライネッケ編):交響曲 第3番 op.97 《ライン》 より 第4楽章
ブルックナー:晩鐘
グノー:アヴェ・マリア
サンジュレー:サクソフォーン四重奏曲 第1番 op.53 より 第1楽章
オッフェンバック: 「ブラジル人のパリ讃歌」(喜歌劇《パリの生活》 より)
スメタナ:交響詩《モルダウ》 (連作交響詩《わが祖国》より)

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【第Ⅴ部】19:00
爛熟の時代 ~世紀の終わり・世紀の始まり

左より:クラルス弦楽四重奏団、金子 平

■出演
クラルス弦楽四重奏団
 ヴァイオリン:福田ひろみ、福田俊一郎
 ヴィオラ:吉江美桜
 チェロ:森田啓佑
クラリネット:金子 平
ピアノ:川島 基、佐藤卓史、佐野隆哉、浜野与志男

■曲目
フンパーディンク:歌劇《ヘンゼルとグレーテル》 序曲
ロット:弦楽四重奏曲 より 第1楽章
ディットリッヒ:《日本のメロディ》より
 権兵衛が種播く
 祭囃子
ブラームス:クラリネット五重奏曲 より 第4楽章
J.シュトラウス2世:夢の形 第1番

■料金
1日券(5公演通し券) ¥7,700
第Ⅰ〜第Ⅴ部(各回券) ¥2,100