eぶらあぼ 2025.11月号
50/157

Information山響創立名誉指揮者 村川千秋の軌跡 〜追悼コンサート〜11/9(日)15:00 山形市民会館指揮/阪 哲朗 管弦楽/山形交響楽団ゲスト/村川千尋(ヴァイオリン)、村川 透(映画監督)弦楽合奏/村川千秋の薫陶を受けた教え子たち□ 山響チケットサービス023-616-6607 https://www.yamakyo.or.jp47 「山響」と呼ばれ、地元民からはもちろん、全国から愛されるオーケストラとなっている山形交響楽団。つねに進化し続ける同楽団は、2019年に阪哲朗が常任指揮者に就任してからはさらにそのスピードを増している。とくにオペラ公演の回数が増えたことで、より表現力に磨きがかかり、レパートリーも拡大。公演ラインナップも年ごとに濃密さを増している。今回は、そんな最近の山響について、楽団員として演奏している方々のお話をうかがった。ご協力いただいたのはヤンネ舘野さん(第2ヴァイオリン首席)、杉山亮佑さん(第2ヴァイオリン)、そして矢吹日香理さん(ホルン)の3名だ。舘野「入団してから19年になりますが、山響はシンフォニーオーケストラとシンフォニエッタの間くらいの編成ということもあり、古典派の作品を演奏することが多かったです。阪さん就任後はこれまでにないレパートリーに挑戦する機会が増え、新たな方向に向かっていることを感じています。音楽づくりがとても流麗で、またさまざまな引き出しがある方ですね」矢吹「入団する1年前にさくらんぼコンサートを聴いてまず感激したことが、山響のお客さまのあたたかさでした。地元の山形だけでなく、東京や大阪でも愛されているオーケストラだなと感じました」杉山「オーケストラの団員同士はもちろん、スタッフのみなさんも協力しあっていて、とてもいい雰囲気です。それがまた音楽にも表れていると思いますし、お客さまにも伝わっているのではないでしょうか」 これまでの活動で印象的なコンサートを尋ねてみると、舘野「10年以上前の公演になりますが、村川千秋さん(創立名誉指揮者)指揮によるシベリウスの交響曲第2番が忘れられません。第3楽章から第4楽章へと移った瞬間の音楽の深さに、おもわず涙があふれてしまいました。また黒岩英臣さんの指揮で演奏したチャイコフスキー第5番も印象的に残っています。そして最近ですと、今年の7月にユベール・スダーンさんがいらした際のチャイコフスキーの『ロメオとジュリエット』、交響曲第4番ですね。黒岩さん、スダーンさんお二人の指揮で、改めてチャイコフスキーの魅力に気づかせていただきました」矢吹「村川千秋さんと結果的にご一緒するのが最後になってしまった、今年5月『ユアタウンコンサート』ですね。あのときのアンサンブルの一体感や音色は村川さんだからこそ作り上げられたものだったと思います」杉山「とくに“オーケストラってこんな音が出るのか”と感じたのが昨年5月に藤岡幸夫さんの指揮で演奏したヴォーン・ウィリアムズの交響曲第5番でした。新しい世界や音色に出会うことができましたね。また、昨年9月の定期で阪さんと演奏したチャイコフスキーの『悲愴』も感動的でした。もちろん村川さんとご一緒した今年5月の演奏会も忘れられない時間です。改めて指揮者によってさまざまな音色が引き出されることを実感している日々です」 最後に、それぞれのおすすめ公演を教えていただいた。舘野「やはり阪さんの指揮で演奏する来年1月の《蝶々夫人》です。プッチーニの音楽は聴いているとその作品の世界に入り込めるような感覚がありますし、香りすらも感じられます」矢吹「私も《蝶々夫人》です。阪さんの指揮は作品がより魅力的に聴こえてくるので、今回もどんな仕上がりになるのか楽しみです。また来年3月にはベートーヴェンの4番、酒田での5番と続くので、とくにアンサンブルの緻密さにご注目いただきながらお楽しみください」杉山「《蝶々夫人》はもちろんですが、ソリストに前田妃奈さんをお迎えする来年3月の定期ですね。実は大学の同級生で、いつか一緒に弾けたら…と話していたので個人的にもとても楽しみなのです。技術はもちろん、表現力がずばぬけた彼女のチャイコフスキーの協奏曲は絶対にすばらしいものになるはずです」 今後もオペラはもちろん古典から近現代まで様々なレパートリーによる公演が目白押しの山響に期待が高まる。取材・文:長井進之介 写真:編集部

元のページ  ../index.html#50

このブックを見る