eぶらあぼ 2025.11月号
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ドビュッシー、シマノフスキ:弦楽四重奏曲/ベルチャ弦楽四重奏団ピアノリサイタル2〜哀愁と情熱のロシア音楽〜/権田晃朗デュエット/大石哲史&新井純シューマン: 交響曲全集/山下一史&愛知室内オーケストラベルチャQのドビュッシーと、その影響を受けたシマノフスキ。とはいえ「印象派風」ではなく、独自の「ベルチャ風」サウンドで構築され直している。ドビュッシーの名作が、実はバルトークのような民俗性にあふれ、濃密で妖艶な音楽だったとは。完璧にして熱きドビュッシー。シマノフスキに至っては完全に彼らの血肉となっていて、逆に民俗性を突き抜けた普遍性すら見出す。あらゆるフレーズが激しく、しかし精緻に歌い抜かれ、4人が一体化した壮絶な名演。第1番1楽章終結や第2番2楽章のカッコよさたるや。世界最高と称えられるのも納得の力量に、気持ちよくねじ伏せられる。(林 昌英)活発な演奏はもちろん、後進の指導など幅広く活動を展開しているピアニストの権田晃朗。前作の“癒し”をテーマに楽曲を集めたショパン・アルバムからわずか1年で第2弾のCDをリリースした。前回と同様、今回もライブ録音となっているが、収録曲は大きく変わり、ロシアの音楽が選ばれている。スクリャービンやラフマニノフのピアノソナタをはじめ、チャイコフスキー=プレトニョフの「くるみ割り人形」など超絶技巧作品が中心だ。彼はそれらを鮮やかに弾きこなしているのはもちろん、各曲の世界観を大切にする姿勢が強く感じられる。改めて権田の表現力の幅広さを実感するアルバムである。(長井進之介)オペラシアターこんにゃく座のスター歌役者・大石哲史の新作は、近年コンサート活動も盛んな新井純と二人で歌ったアルバム。 座付作曲家・萩京子による「宮澤賢治の詩による重唱曲集」からの7曲は、賢治が死の床で書いた〈まなこをひらけば四月の風が〉等どれも秀逸で、デュエットだからこそ生まれるドラマが溢れる。林光による〈引き裂かれた愛の歌[2]〉(木島始)~〈背なかあわせのうた〉(佐藤信)~〈夫婦〉(谷川俊太郎)等“男女もの”が素晴らしく、“俺とあいつ”“あたしとあんた”で歌い継ぐヴァイル&ブレヒトの名コンビによる〈ヒモの歌〉(訳:山元清多)も圧巻だ。 (東端哲也)山下一史のシューマン交響曲全集は、作曲家のもつポエジーのために、通常の交響曲の形式や管弦楽法からはみ出してしまうところを巧く捉えている。同時に若いオーケストラから、しなやかな感性と、熱く燃える心をたくみに引き出している。第1番では、新しく交響曲に挑戦するシューマンの意気込みと春の息吹が伝わってくる。第2番は緩徐楽章の美しさはもちろんだが、スケルツォも聴きものだ。角張ったリズムとスピード感。トリオの優雅なレガートとの対比で一層際立つ。第3番「ライン」の雄大な拡がり、第4番の主題関連による緻密な構築など、とても面白く聴ける。見事なシューマンだ。(横原千史)ベルチャ弦楽四重奏団Alpha Classics/ナクソス・ジャパンNYCX-10554 ¥3300(税込)権田晃朗(ピアノ)大石哲史 新井純(以上うた)服部真理子(ピアノ)山下一史(指揮)愛知室内オーケストラドビュッシー:弦楽四重奏曲/シマノフスキ:弦楽四重奏曲第1番、同第2番チャイコフスキー:「四季」より、「くるみ割り人形」より(プレトニョフ編)/スクリャービン:ピアノソナタ第5番/ラフマニノフ:幻想的小品集より、ピアノソナタ第2番(1931年版) 他収録:2024年11月、Hakuju Hall(ライブ)ナミ・レコードWWCC-8038 ¥3300(税込)萩京子:馬、林と思想、電車、かはばた、風がおもてで呼んでゐる、丁丁丁丁丁、まなこをひらけば四月の風が/林光:引き裂かれた愛の歌[2]、背なかあわせのうた、夫婦/クルト・ヴァイル:ヒモの歌 他コジマ録音ALM-7320 ¥3300(税込)シューマン:交響曲第1番「春」〜第4番(1851年改訂版)、歌劇《ゲノフェーファ》序曲、「マンフレッド」序曲妙音舎MYCL-00065(2枚組) ¥4950(税込)134CDCDCDSACD

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