eぶらあぼ 2025.11月号
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メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲集/トリオ・アコードマーラー:交響曲第7番/井上道義&新日本フィルタペストリー/菅井春恵&上畠由梨乃フォルティッシマ〜続・女性作曲家たちの肖像/ラファエラ・グロメス活動歴22年を誇るピアノ三重奏団、トリオ・アコード。ピアノ・トリオには三者の技量を外に向かって発揮してゆく側面と、室内楽としての求心性との両面があるが、トリオ・アコードは後者を軸として曲想に応じ個々の力を開放させるそのバランスが絶妙だ。メンデルスゾーンの2曲でもその美点が生かされており、曲の内実に対し大柄な演奏になりがちな第1番はスリムな疾走感の中に情感が漂う。より入り組んだ内容の第2番は細部が鮮やかに立ち上がり、第1番と異なる魅力を実感させる。アンコール的な姉ファニーの三重奏曲の第3楽章がまた味わい深く、これは全楽章録音してほしい!(矢澤孝樹)日本のマーラー演奏史で語り継がれる、井上道義と新日本フィルによって行われた1999年から翌年にかけての交響曲ツィクルス。そのなかから交響曲第7番のライブ録音が25年の歳月を経て初めてリリースされた。 壮年期の井上の指揮にオーケストラが俊敏に反応した、表現や強弱の振幅が大きい演奏だ。 第3楽章での弦楽器の表情の切り替えを耳にすると、いかにアーティキュレーションを念入りに凝らしているかがわかるはず。終楽章はむやみに大騒ぎすることなく、細やかに音楽の筋道を作り、鐘の音も鮮やかに、壮麗なフィナーレを導き出した。 (鈴木淳史)フリーで活躍する母と娘によるフルート・デュオ曲集。親子二重奏のCDだけあって、温かさや親和性を強く感じさせる内容だ。最初の上林裕子「時の外で」はキラキラとした弾みや温もりのある音色が魅力的。続くクーラウのトリオは情感豊かで実に愉しく(特に第3楽章)、同形態では有名なドップラーの3曲はこの楽器のデュオの魅力をストレートに味わわせてくれる。中でも最後の「華麗なるワルツ」の珠を転がすような動きが心地よい。フルートとの共演に定評のある石橋尚子の表情豊かなピアノも大きく貢献。とにかく聴いていて幸せな気持ちになるアルバムだ。   (柴田克彦)ラファエラ・グロメスは歴史の影に埋もれた女性作曲家の作品蘇演に情熱を燃やすチェリストだ。第2弾となる本盤は、19世紀中葉のエミーリエ・マイヤーの端正なソナタから自身による委嘱作まで、2枚組で11人の作曲家の12作を収めた。冒頭のボスマンスのソナタから気迫みなぎる演奏で、尋常ならざる意気込みを感じる。注目はマリア・ヘルツのチェロ協奏曲で、グロメスの活動を知った作曲家の孫が連絡を取ったことで録音が実現したという。モダンなオーケストレーションをもった7楽章の堂々とした作品だが、当時は専門筋から評価されたものの初演はかなわなかったという。演奏にも共感が溢れる。(江藤光紀)トリオ・アコード【白井圭(ヴァイオリン) 門脇大樹(チェロ) 津田裕也(ピアノ)】井上道義(指揮)新日本フィルハーモニー交響楽団菅井春恵 上畠由梨乃(以上フルート)石橋尚子(ピアノ)フェリックス・メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番、同第2番/ファニー・メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲より第3楽章「リート」フォンテックFOCD9926 ¥3300(税込)マーラー:交響曲第7番「夜の歌」収録:2000年4月、すみだトリフォニーホール(ライブ)オクタヴィア・レコードOVCL-00885 ¥3850(税込)上林裕子:時の外で/クーラウ:トリオ/ドップラー:プラハの想い出、アンダンテとロンド、華麗なるワルツナミ・レコードWWCC-8039 ¥3300(税込)ヘンリエッテ・ボスマンス:チェロ・ソナタ/エミーリエ・マイヤー:チェロ・ソナタ/マリア・ヘルツ:チェロ協奏曲/エリーザベト・カイパー:チェロと管弦楽のためのバラード/レベッカ・デール:ロスト・コンポーザーズ(フォルティッシマ) 他ラファエラ・グロメス(チェロ) ユリアン・リーム(ピアノ) アンナ・ラキティナ(指揮) ベルリン・ドイツ交響楽団ソニーミュージックSICC 30924-5(2枚組) ¥3960(税込)132CDSACDCDCD

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