eぶらあぼ 2025.11月号
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CD マーラー:交響曲第2番 ハ短調「復活」SACDSACDJ.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(全曲)/周防亮介/カーチュン・ウォン&ハレ管久元祐子 ベートーヴェン・ツィクルス Vol.3ショパン:24の前奏曲 他/エリック・ルー日本フィルとのマーラー・シリーズで名演を展開しているカーチュン・ウォンが、2024年9月から並行して首席指揮者を務めるハレ管を振ったライブ録音。日本フィルの公演では力感漲る演奏で魅了しているが、本作ではより細やかでしなやかな表現がなされている。第1楽章はじっくりと運ばれニュアンスも豊か、第2楽章はきめ細かく歌われ、第3楽章は引き締まっていて流れがいい。第4楽章は独唱のコノリーの沈んだ歌声が印象的。第5楽章は場面転換の鮮やかさが光り、最後は雄大な歌い上げが感動をもたらす。カーチュンのマーラーへのシンパシーを如実に物語る好ディスク。(柴田克彦)久元祐子のベートーヴェン・ツィクルス第3弾。初期ソナタ第2番は、下行音の主題で始まるが、音階上行のパッセージがとても印象的だ。久元はきれいなタッチで、自然に伝えてくれる。それは終楽章のロンド主題の上行走句まで繋がる。第7番は、主題に力感がこもり、弱音からあっという間にffまで駆け上がる。緩徐楽章のバスの動きや切れ切れの楽句に悲哀が滲み出る。第11番冒頭主題では、第1主題の機動性と第2主題の天に昇るような音色変化にハッとさせられる。メヌエットの愛らしい優雅さも聴きものだ。第12番は葬送行進曲に焦点があるが、変奏の第1楽章も、ロンド終曲も味わい深い。(横原千史)無伴奏ヴァイオリンの聖典とも言えるバッハのソナタ全3曲がリリースされた。予想にたがわず周防らしい美意識に貫かれた演奏だ。できるだけレガートを効かせて流麗に仕上げる。ゆったりとした冒頭楽章はもちろんのこと、フーガのような声部の絡み合いも重音のアタックから生じるエッジをできるだけ除き、しっとりと組み上げた。全体にヴィブラートもごく薄めで、第3楽章にあたる歌謡楽章では柔らかく刻むリズムに乗って旋律が敬虔な祈りのごとき表情を帯びる。美しく共鳴しあうハーモニーに、ほどよく残る残響がほんのりと上気したような衣を纏わせる。不思議な魅力を湛えた演奏だ。(江藤光紀)2015年ショパンコンクールにて17歳で第4位、18年リーズ国際で優勝したエリック・ルー。2019年に収録のアルバムが、SACDの高音質国内盤として蘇った。 すでにキャリアを築いているルーは、今年のショパンコンクールへの再挑戦でも大きな話題を呼んだ。起伏に富むショパンから、ブラームスの後期作品とシューマン最後の作品の繋がりは見事。深い呼吸を感じさせ、ソフトなタッチながらも力強い情念をも感じさせるルーの音楽性、そしてこの6年の間の彼の成長や、変わらず通底する音楽観を想いながら、今一度じっくりと味わいたい。 (飯田有抄)カーチュン・ウォン(指揮)ハレ管弦楽団ハレ合唱団 ハレ・ユース合唱団マサバネ・セシリア・ラングワナシャ(ソプラノ)サラ・コノリー(メゾソプラノ)久元祐子(ピアノ)周防亮介(ヴァイオリン)エリック・ルー(ピアノ)J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番〜第3番マーラー:交響曲第2番「復活」収録:2025年1月、マンチェスター(ライブ)HALLÉ/東京エムプラスCDHLD 7568JP(2枚組) ¥オープン価格ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第2番、同第7番、同第11番、同第12番「葬送」/シューベルト(R.シュトラウス編):クッペルヴィーザー・ワルツ/ J.シュトラウスⅡ世:ワルツ「酒、女、歌」より第4ワルツ収録:2025年5月、東京文化会館(小)(ライブ)コジマ録音ALM-9285,9286オクタヴィア・レコードOVCL-00892 ¥3850(税込)ショパン:24の前奏曲/ブラームス:3つの間奏曲より第1番/シューマン:主題と変奏「幽霊変奏曲」ワーナーミュージック・ジャパンWPCS-28508 ¥3300128配信

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