eぶらあぼ 2024.09月号
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第5回 那須クラシック音楽祭高原の風を感じながら名手たちのアンサンブルを聴く 中秋の那須で上質な音楽に浸る。9月を中心に約1ヵ月間開催される「那須クラシック音楽祭」が5回目を迎える。那須にゆかりのある演奏家を中心に、多くのコンサートが開催され、観光地に彩りを加えるのである。 今年は9月4日の「ソプラノ(吉田秀美)とピアノ(大吉惇平)のコンサート」でスタート。「チェロ(金子鈴太郎)とピアノ(桑生美千佳)の夕べ」(9/14)は地元出身の名手、金子の豊かな音色を味わう。「吹奏楽&第6回弦楽亭室内オーケストラ」(9/16)は、吹奏楽の学生メンバーとアマチュアも加わるオーケストラを、大阪響などで活躍する柴田 「ボストンでの留学が5月に終わり、10月からクロンベルクに移るので、そんな自分の背景を重ねました。 とくにベートーヴェンの『クロイツェル・ソナタ』は“入賞記念”を意識しています。エリザベートのセミファイナルは2つのリサイタル・プログラムを用意しておいて、本番前日にどちらかが指定されるルール。私はシューマンのソナタを弾いたのですが、演奏しなかったほうのプログラムが『クロイツェル』だったんです。じつは2年前にインディアナポリスのコンクールでも弾いていて、トータルに見ればうまく弾けたと思うのですけど、自分の考えている『クロイツェル』ではなかった。そのリベンジの気持ちも込めた選曲でした。 抽象的な言い方ですが、『クロイツェル』を派手に弾くのはめちゃめちゃ簡単だと思うんですよ。でもそんな曲なのかなって。インディアナポリスの時MINAMI ヴァイオリン・リサイタル〜エリザベート王妃国際音楽コンクール・ヴァイオリン2024 入賞記念コンサート〜9/19(木)19:00 王子ホール 問 アスペン03-5467-0081 https://www.aspen.jp61InterviewMINAMI(ヴァイオリン)エリザベート入賞を経てさらなる飛躍を 「現代は、いかに派手で、いかにばえて、いかにバズるかみたいな演奏が増えてきている感じがします。自分はそれはしたくない。派手さに頼るのでなく、音楽の本質を見たいんです。『演奏家としてやっていきたい』というのは『作曲家の意図を私の言葉で伝えたい』とイコールだと思っているので、正統的な音楽家になりたい。わりとインサイドな部分にフォーカスして聴いていただけたら、私が思うところが伝わるんじゃないかなと思っています」 今どきの若者らしい口調の中にも、音楽家としての信念がきちんと芯を食っている。今年5~6月に開催されたエリザベート王妃国際音楽コンクールで第6位に入賞したヴァイオリンのMINAMIが入賞記念リサイタルを開く。 「正直に言えば6位という結果には悔しさもあります。でも予選から本選まで全ラウンドを通して、思いっきり、自分の思うように弾けた。大きな舞台で、満足できる演奏ができたのはよかったです」 リサイタルは前半がドヴォルザーク、ヒンデミット、コルンゴルトとヨーロッパからアメリカに渡った作曲家たち、後半はベルリンやウィーンで学んだシベリウスと、ベートーヴェン。真郁が指揮する注目公演。「須川展也(サクソフォン)×小柳美奈子(ピアノ)」(9/21)は世界的奏者の多彩な響きを、「戸澤哲夫 ヴァイオリンソナタシリーズNo.8」(9/23)は東京シティ・フィルコンサートマスターの優しい音色を堪能。「リコーダー(YUKI-柴本幸)とピアノ(雪本郷子)」(9/28)、最終日の9月29日は「N響メンバーによる室内楽」で、名手たちのシューベルト「鱒」で華やかに締める。9/4(水)~9/29(日) 栃木/那須町文化センター、弦楽亭 他問 那須クラシック音楽祭0287-76-7268 https://ncmf.site※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。金子鈴太郎須川展也 ©Toru Hasumiも、中身のある“大人”な演奏を目指していたのに、やっぱりコンクールだ! 弾かなきゃ!と、頭にかーっと血がのぼって、どうだ!系の演奏になってしまった。今回はそれをしないように攻めたいと思います」 昨年、師のミリアム・フリードに勧められ、活動名を「吉田南」から「MINAMI」に変更した。世界で活躍するため。きっとそうなる。©Yoshihiro Yoshida文:林 昌英取材・文:宮本 明戸澤哲夫

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