eぶらあぼ 2024.09月号
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9/22(日・祝)10:30 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jpN響名曲コンサート2024フランスの名匠が魅せる管弦楽サウンドの色彩 9月恒例の「N響名曲コンサート」、今年はフランスもの中心のおしゃれなプログラムで実施される。 指揮のパスカル・ロフェは、現代音楽のスペシャリスト集団、アンサンブル・アンテルコンタンポランの指揮などを経て、2014年から22年までフランス国立ロワール管の音楽監督を務めた後、現在はクロアチア放送響の音楽監督の任にある。近現代の複雑なスコアを色彩感豊かに表現してくれる手練れだ。 演奏会はイギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンの歌劇《ピーター・グライムズ》より「4つの海の間奏曲」で幕を開ける。ある漁師の弟子の死をめぐって起こる村の騒動を描いたオペラから、様々な海の姿をとらえた間奏曲を集めた。 続くラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」は第一次大戦で右手を失ったピアニストのために書かれ、グロテスクな楽想やジャズ風のリズムが混ざり合った才気あふれる作品。独奏のジョ9/9(月)19:00 サントリーホール問 N響ガイド0570-02-9502 https://www.nhkso.or.jpりそうでなかったというよりは、無尽蔵のエネルギーを持つ横山でなくてはできない企画といえる。 弾力のあるみずみずしいタッチで奏でられる若き日のソナタ、ドラマティックかつ奇を衒うことのない音楽性が生きる名曲の数々、美しい音と洗練された感性が発揮される最後のソナタで、横山ならではの表現とテクニックを存分に味わうことができるだろう。記念年でなくても、たっぷり1日ベートーヴェンの音楽に浸ることができる機会。前向きなパワーを補給できそうだ。49パスカル・ロフェ ©N.Ikegamiナタン・フルネルは21年にエリザベート国際で優勝した俊英だ。 フォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」はメーテルリンクの幻想的な戯曲に付曲したもので、フルートが雅やかな旋律を歌う「シシリエンヌ」は単独でも演奏される名曲だ。そして最後は夜ジョナタン・フルネル ©Marco Borggreve明けから嵐に至る大海原の変化をとらえたドビュッシーの交響詩「海」。プログラムのはじめと終わりのお題を揃えたあたりにもフランス人らしいエスプリを感じる。N響の精緻なアンサンブルと相まって、それぞれの曲を豊かな情景喚起力で描きだしてくれるだろう。文:江藤光紀文:高坂はる香©Hiro Ferrari横山幸雄 ピアノ・リサイタル ベートーヴェン・プラス Vol.1012曲のソナタでたどる楽聖の足跡 横山幸雄にとって活動の主軸となる作曲家の一人、ベートーヴェン。毎秋、そんなベートーヴェンと関連する作曲家をあわせることでその魅力を掘り下げていくシリーズ「ベートーヴェン・プラス」も、第10回の節目の開催を迎える。そこで今回横山が取り上げるのは、“生誕250年の2020年と、没後200年にあたる2027年のちょうど真ん中”というタイミングもあって、ベートーヴェンに真っ直ぐに向き合うプログラムとなった。 その内容は、名曲として広く親しまれ、タイトルで呼ばれるピアノ・ソナタ10曲と、記念すべき第1番、そしてピアノ音楽の究極に上り詰めた第32番の計12曲のソナタを通じ、ベートーヴェン20代半ばから50代半ばまでの音楽人生をたどるというもの。午前10時半開演、終演は夕方の16時半の5部構成。凝縮してもなおボリュームたっぷりになってしまうベートーヴェンの魅力を、余すところなく届ける内容だ。あ

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