eぶらあぼ 2024.6月号
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古い建物だよね。急な坂の上だよな。紅葉坂だっけ?椅子がせまいんだよなあ。しばらく行ってないな。いまは駅近で便利なホールがたくさんあるし。でも、最初に音楽を聴いたのは、あそこだった。木の響きに、包まれる感じで。あれから、クラシック音楽が大好きだった。神奈川県立音楽堂?70周年記念サイト1954年、日本初の本格的な公立音楽ホール。「東洋一の響き」と世界の巨匠たちに絶賛され、戦後日本の音楽シーンの一時代を創りました。モダニズムの巨匠、前川國男の名建築は、70年後のいまも、生き続けています。新しくて便利なだけが価値じゃない。紅葉坂はいまも急だし、椅子もちょっと小さい。でも、丁寧に、守り続けて来たもの̶ここでしか聴けない音、ふりつもる記憶が、あなたをお待ちしています。きょうも、あすも。これからも、木のホールで―

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