eぶらあぼ 2024.6月号
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第657回 定期演奏会〈トリフォニーホール・シリーズ〉 6/8(土)14:00 すみだトリフォニーホール〈サントリーホール・シリーズ〉  6/11(火)19:00 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp6/22(土)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net52ごほうびクラシック 第10回 LEO 箏リサイタル■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 第一生命ホールで行われている「ごほうびクラシック」は、音楽によって心や体をリフレッシュしようという人気シリーズ。その第10回に、箏曲家のLEOが登場する。 LEOは邦楽の世界にとどまらず、クラシックなど他ジャンルの音楽家と意欲的にコラボレーションしている。その越境的な活動を通じて、我々日本人が知っているつもりで、じつは意外と知らない、箏という楽器の可能性と魅力を再発見させてくれる新鋭だ。その響きとリズムは歯切れがよく、一音一音が鮮明で美しい。 今回のリサイタルでも、箏曲の伝説的な作曲家の宮城道雄や、今野玲央名義の自作曲に加え、クラシックのバッハ、ジャンルを越えて活躍した坂本龍一、アルメニア系アメリカ人ジャズ・ピアニストのティグラン・ハマシアンと、さまざまなジャンルの作品が取りあげられる。シャルル・デュトワ ©Chris Lee編成の1911年原典版だ。鮮やかにリズムをきざみ、原色を織り交ぜた多彩な音色のパレットで物語の世界を光輝かせる。デュトワの手腕が存分に発揮されるだろう。原典版は前半部分でピアノが活躍するが、幅広いレパートリーをこなす気鋭の実力派ピアニスト、阪田LEO ©日本コロムビア ロー磨秀のピアノとの共演にも、期待が高まる。二人とも母親は日本人だが、LEOはアメリカ人、ロー磨秀はイギリス人を父親にもつ。また、今野玲央の名で作曲をするLEOと似て、ロー磨秀もクラシックの優秀なピアニストであると同時に、マシュー・ローの名で知樹にも注目したい。 そして、「ペトルーシュカ」と同様、ディアギレフの依頼で作曲されたバレエ音楽をもとにした、ラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲。「魔術師」デュトワのタクトが作り上げる極上の音楽。これを聴き逃すことはできない!阪田知樹 ©Ayustetロー磨秀 ©日本コロムビアシンガー・ソングライターとしても活動している。 安易に伝統に寄りかかることなく、多角的な視点と鋭敏なセンスでそれを見つめなおす、若い二人の共演。鮮度の高いその音楽を通じて、私たちの感性もきっとリフレッシュされるだろう。文:柴辻純子文:山崎浩太郎シャルル・デュトワ(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 新日本フィルハーモニー交響楽団の第657回定期演奏会は、世界的名匠シャルル・デュトワが登場。新日本フィルとは2022、23年に続いての共演となる。1936年生まれ、今年88歳を迎えるデュトワだが、指揮姿は年齢を感じさせず、エネルギッシュだ。各パートに目を光らせて細かく指示を出し、洗練された響きと開放的な華やぎをオーケストラから引き出す。華麗かつ繊細な表現と音色は、オーケストラの機能を知り尽すマエストロだからこそ。今回は、十八番のフランスとロシアの近代作品と、ハイドンの交響曲を組み合わせたプログラムで魅了する。 ハイドンの最後の交響曲第104番「ロンドン」は、溌剌とした音楽で、歯切れの良いリズムが心地よい。軽やかで端正、バランスの取れた、スマートな演奏を聴かせてくれるだろう。 デュトワが「若いときから得意としてきた」と語るストラヴィンスキーは、バレエ音楽「ペトルーシュカ」。もちろん大

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