eぶらあぼ 2024.3月号
46/141

拡大版はぶらあぼONLINEで!→千葉敬愛高校マーチングバンドGraceful Spirit福岡大学附属大濠高校吹奏楽部43審判〜The Last Judgement〜」と題し、悪魔と戦って神聖な世界を勝ち取る物語を表現した。 キャプテンでカラーガード担当、ショーの中で悪魔役を演じた2年生の山口はなさんはこう語る。「衣装の関係で顔が見えないので、いかに体だけで悪魔を表現するかが難しかったです。結果は銀賞で悔しかったですけど、私自身は緊張もなく物語の世界に入ってやり切ることができました」 約100人で中編成に出場したのは福岡大学附属大濠高校吹奏楽部(福岡)。「BLOOD」というテーマで、血管や心臓を思わせるモチーフを描いた。 2年生でトロンボーン担当の寺島采希さんはその意図をこう教えてくれた。「いままで大濠のマーチングが受け継いできた伝統を『大濠の血』として表現し、過去のショーのパフォーマンスや音楽を取り入れ、最後はみんなで声を合わせて『ブラッド!』と叫びました。目指していた金賞に届かなかったのは悔しいですが、自分でも納得のできる出来のショーでした」 大編成に出場した関東学院マーチングバンド(神奈川)は91人での出場だが、メンバーの半数が中学生で、中1も多く含まれていたというから驚きだ。「RISE UP!!」というテーマで会議室などにあるようなキャスター付きデスクを大道具として巧みに活用したショーを披露し、会場を沸かせた。 部長で、メロフォンを担当する3年生の蘇武遼大さんは全国大会に至る苦労を語ってくれた。「練習では温度差がある部員一人ひとりをまとめていくのがとても大変でした。また、半数が中学生なので、高等学校の部のレベルになかなか達しない部分も多く、育成にはとても苦労しました」 スーパーバンドばかりが集まった大編成の部で銀賞を獲得。その苦労は報われた。「個人的には全国大会の出来もよかったと思いますし、部員たちから『楽しかった』という声も多く聞かれ、部長としてとても嬉しかったです」 高校生たちがさいたまスーパーアリーナで繰り広げた色とりどりのショー。各校が苦労を乗り越え、聖地でショーを披露する喜びが音や動きの躍動につながって、見る者の心を震わせた。 音楽、吹奏楽を表現する魅力的なひとつのジャンルとして、マーチングをより多くの人に知ってもらいたい――そう強く感じながら会場を後にした。

元のページ  ../index.html#46

このブックを見る