eぶらあぼ 2024.1月号
72/145

第394回 横浜定期演奏会 1/20(土)17:00 横浜みなとみらいホール第403回 名曲コンサート  1/21(日)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp2/10(土)15:00 神奈川県民ホール(小)問 チケットかながわ0570-015-415 https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/《オルガン avec シリーズ vol.2》 オルガン avec バレエ親密な空間で実現する唯一無二のコラボレーション 港の見えるコンサートホールである神奈川県民ホール。その小ホールには1975年の開館時からパイプオルガン(ドイツ、クライス社製)が設置されている。客席数433という小さなホールにパイプオルガンがあるのは全国的にも珍しく、大ホールで聴くパイプオルガンとは違う親密さを感じることができる。2021年から神奈川県民ホールのオルガン・アドバイザーとなった中田恵子は、そのホールとパイプオルガンの特性を活かしたコンサートシリーズ「オルガン avec シリーズ」を展開中だ。 vol.2では「オルガン avec バレエ」と題して、ゲストに横浜バレエフェスティバル芸術監督などを務める遠藤康行を迎え、彼の振付により、新国立劇場バレエ団のプリンシパルとして活躍する渡邊峻郁(たかふみ)らがオルガンの演奏とともに踊る。 「舞踏を伴う時、音楽はBGMになってしまうのか?」という疑問を持ちながように目まぐるしく変化していく音楽が期待できるはずだ。 エロスとタナトスが共振する熱狂的なプログラムの最後を飾るのが、ベルリオーズの「幻想交響曲」。ラフマニノフ作品とはグレゴリオ聖歌の「怒りの日」繋がりもある。オーケストラのバランスを整えつつ、鮮烈な表情を与えていく指揮者の持ち味が発揮される作品だ。 そして、「幻想交響曲」といえば、渡邉曉雄、ミュンシュ、小澤征爾、小林研ら、この親密な空間で音楽とバレエのマッチングを試みたいと考えた中田。2部に分けられたコンサートでは、中世から20世紀まで、幅広い時代の音楽が選ばれている。チャイコフスキーの「眠れる森の美女」など、バレエのために書かれた作品もあるが、パッヘルベルの「カノン」、ガーシュウィンの「アイ・ゴット・リズム」なども取り上げられる。おそらく多くの方にとってオルガンとバレエの組み合わせは初めての体験だろう。終演後には中田と遠藤のアフタートークもあり、どんな話が飛び出すか、楽しみである。カーチュン・ウォン ©Ayane Sato左:中田恵子 右:遠藤康行 ©Toru Hiraiwa上原彩子 ©武藤 章一郎、ラザレフなどとともに熱演を繰り広げてきた歴史が日本フィルにはある。果たして、若き首席指揮者はこの殿堂に加わることができるだろうか?文:鈴木淳史文:片桐卓也69カーチュン・ウォン(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団若き大器が燦爛たるプログラムで熱狂の渦へといざなう このオーケストラ、なかなかお目が高い。日本フィルがカーチュン・ウォンを首席指揮者に選んだとき、そんな言葉が口を衝いた。シンガポール生まれの新鋭指揮者は、細部をシャープな手つきで彫琢しつつ、じつに大きな音楽を作り出す。明確なビジョンの持ち主で、好奇心も旺盛。これからいっそう世界を舞台に活躍すること間違いない。今秋、そんな彼とともに、日本フィルの新しい時代が始まった。 アジアの指揮者として、この地域ならではの作品にも意欲を見せるカーチュン。とりわけ日本フィルとは伊福部昭の作品を継続的に取り上げる。今回のプログラムも、舞踊曲「サロメ」より〈7つのヴェールの踊り〉で開始。高揚していく伊福部サウンドがホールを轟かす。 そして、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」。ピアノは、華麗なテクニックとともに、深い陰影感が魅力の上原彩子だ。魔性を帯びた

元のページ  ../index.html#72

このブックを見る