eぶらあぼ 2024.1月号
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2/23(金・祝)14:00 姫路キャスパホール問 神戸国際ステージサービス078-230-3310http://kiss4u.co.jp運動神経が良くないと弾けません」 本公演では、弦や管の曲におけるピアノの役割を「全部合わせてオーケストラのようにすること。タッチや音色もその場面に合う楽器を考えて弾きます」と話す彼女のピアノも要注目。「温かくてリラックスできる」Hakuju Hallの親密な空間に響く二重奏を、大いに満喫したい。Interview上田晴子(ピアノ)相性抜群のデュオを個性的なプログラムで満喫 パリ音楽院の室内楽科教授とピアノ科准教授を務めながら、ソリストおよび室内楽奏者として日仏で活躍を続ける上田晴子。彼女はこの2月Hakuju Hallで、チェロの笹沼樹とのデュオ・リサイタルを行う。 カルテット・アマービレなど多方面で光を放つ笹沼との相性は抜群だ。 「2019年にブラームスのピアノ五重奏曲で初共演した際、リハーサルの最初の5分間でお互いピンとくるものがありました。そこで21年に初のデュオ・リサイタルを行ったところ、何十回も共演してきたかのように上手くいったので、以後定期的に共演しています。彼とは音の聴き方や大事な和音の捉え方が似ていて、和声の中にこの音が欲しいと思った時にピタッときますし、目を閉じていてもタイミングや呼吸が合います」 Hakuju Hallでのデュオは、22年9月以来2度目。「やってよかった」と語る前回は、プロコフィエフやR.シュトラウス等を披露したが、今回は一転ラテン系に目を向けた。 「まず、前から一緒に弾きたいと話していたプーランクのソナタが決まり、いつもアンコールで第2楽章を弾いていたカサドのソナタが加わって、フランスものと私の大好きなスペイン音楽になりました。さらにあまり知られてい外のオーケストラと多数の共演実績を誇る嶽崎あき子が務める。 KISSは舞台、音響、照明、映像などで舞台芸術を長年にわたり支えてきたが、近年はイタリアのオーケストラや歌劇場とオペラやバレエの共同制作のためにスタッフを現地に派遣するなど、国際交流にも力を入れている。そして、創業51年にして念願のオーケストラを結成し、嶽崎とともに各地で演奏会を開催予定。神戸国際ステージチェンバーオーケストラの今後の活動が楽しみだ。ない曲を入れたいとの思いも加味して、プログラムが決まっていきました」 ゆえに同編成としては稀な内容となっている。 「カサドの『スペイン古典様式によるソナタ』は、スペイン人でチェリストの作曲者が思う『古典風』の在り方が面白い。コブシのようなものも入っていますし、パコ・デ・ルシア(フラメンコ・ギターの大家)風の要素も混じっています。次のグラナドスの歌劇《ゴイェスカス》の『間奏曲』は、“ザ・スペイン”のイメージ。ファリャの『7つのスペイン民謡』は、色々な地方の歌なので表現が難しいのですが、一度合わせた時、笹沼さんは初見で完璧に弾きました。彼はスペインのリズムが身に付いているようです。 プーランクの『陽気な歌』の〈セレナード〉も元は歌曲で、チェロ用の編曲譜を見ていいなと思いました。そしてプーランクの『チェロとピアノのためのソナタ』には、少しバッハ的な要素が入っています。特に第2楽章は宗教心を感じる素晴らしい音楽。でもプーランクは二面性があって、他の楽章は洒脱な面が目立ちます。それにチェロは大変で笹沼樹 & 上田晴子 DUO リサイタル2/28(水)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jp嶽崎あき子取材・文:柴田克彦文:磯島浩彰©K.MIURA西田浩二60神戸国際ステージチェンバーオーケストラ 姫路公演 ヴィヴァルディ 四季舞台制作会社発のオーケストラが兵庫県に誕生 兵庫県姫路市に拠点を置き、多くの舞台芸術を裏からサポートしてきた神戸国際ステージサービス(KISS)が、播州地域の文化振興とクラシック音楽の普及を目的に、神戸国際ステージチェンバーオーケストラを結成し、2月23日に姫路キャスパホールにて演奏会を開催する(プロデュースは舞台制作チーム長の西田浩二)。当日はヴィヴァルディの「四季」を演奏。同チェンバーオーケストラは地元在住の演奏家を中心に構成し、独奏ヴァイオリンは、ドイツのイエナ・フィルをはじめ、国内

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